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借地借家法上建物要件としての土地の定着性とは

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令和 6年11月21日(木):初稿
株式会社日本エフ・アール・ピー製作カプセル店舗が建物に該当するかどうかが争点となっている事案を取り扱っており、これが争点となった裁判例を探しているのですが、現時点では見当たりません。簡易なプレハブ建物が、借地借家法上の建物に該当するかどうかが争いになった事案の判決は存在し、プレハブ建物の具体的性状によって、肯定否定両説あるようです。

株式会社日本エフ・アール・ピー商品説明HPでのFRPの特徴によると、その特徴は「手間とムダを思いっきり省いたカプセルタイプの多目的店舗」、「設置を気にしない2.9坪と1.7坪の主として2タイプ(キャスター付きもあります)。建築許可申請の必要のないサイズで、設置、移動も簡単」、「超軽量のFRP製だから、ユニック車一台で移動も自在。設置も大規模な基礎工事など一切不要(キャスター付きもあり)」と設置・移動の簡便性を強調しています。

○このようなカプセル店舗は、土地に定着性がなく、借地借家法上の建物ではないと思われますが、残念ながらそれを判断した裁判例はありません。以下、建物の土地の定着性について論じた昭和47年12月1日東京地裁判決(判タ298号389頁)理由部分を紹介します。

なお、平成5年9月22日神戸地裁判決(判タ858号162頁)でも、「土地およびその定着物は不動産とされ(民法86条1項)、その他の物はすべて動産とされている(同条2項)ところ、土地の定着物とは、土地に付着せしめられ、かつその土地に永続的に付着せしめられた状態において使用されることがその物の取引上の性質であるものをいう(最高裁昭和37年3月29日第一小法廷判決民集16巻3号643頁参照)と解するのが相当であり、建物とは、屋根および周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供しうる状態にあるものをいう(不動産登記法14条、不動産登記事務取扱手続準則136条参照)とされている。」としています。

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判決理由
 ところで、動産とは土地およびその定着物(すなわち不動産)以外の物をいう(民法86条)から、本件物件が土地の定着物でないとされて初めて動産であると認められることになる。そして、土地の定着物とは、土地の構成部分でないが土地に附着せしめられ、かつ社会観念上その土地に恒久的又は相当期間継続的に附着せしめられた状態において使用されることがその物の取引上の性質であると認められるものをいうと解するのが相当であるから、仮設的、臨時的に土地に附着され、容易に移転し得る仮小屋等は定着物とはいえないと考えられる。

 前記認定によれば,本件物件は工事現場に工事従業員の便益のため建てられた合宿所いわゆる飯場建物というべく、その性質上予定工事終了のあかつきは解体され、右現場より撤去されることが予定されていることが推認されるから、恒久的存続を予定して建てられる通常の建物とは、この点において異なることは争えないところである。しかし、形体上、構造上は通常の建物と何ら変りなく(ただし組立、解体の容易なプレハブ住宅である)、堅牢性、耐久性もあり、人の居住に十分耐え得、現に宿舎として利用していたものであることは前記のとおりであり、その基礎が恒久的存続を予定される建物に比し簡易であることは否めないにしても、土地に相当期間継続的に附着され、使用される予定のもとに構築されたものであることは、前記認定事実より推認することができる。

 以上のような諸点をあわせ考えると、本件物件は土地の定着物すなわち不動産と認めるのが相当である(なお、飯場は性質上取引の対象とはしないから、登記までもしないのが通常であるが、飯場なるが故に登記が許されないとはいえない。土地の定着物と認められる以上は登記も可能と解される。)から、右物件が動産であることを前提とする被告の抗弁は、その余の点について判断するまでもなく失当である。
(早井博昭)

以上:1,666文字

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