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出資法・利息制限法等令和4年現在の定めと昭和58年以降改正経緯等覚書

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令和 4年 8月11日(木):初稿
○久しぶりに債務整理相談を受けました。サラ金・クレジット債務の借入時期が一番古いもので2000(平成12)年があり、その時点での金利規制がどうなっているか確認する必要が生じ、出資法・利息制限法・貸金業法の成立・改正経緯を見直しすべく調べた結果を記載します。

令和4年8月現在の出資法・利息制限法・貸金業法の利息規制は以下の通りです。

昭和29年法律第195号
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律
第5条(高金利の処罰)

 金銭の貸付けを行う者が、年109・5パーセント(2月29日を含む1年については年109・8パーセントとし、1日当たりについては0・3パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年20パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3 前2項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年109・5パーセント(2月29日を含む1年については年109・8パーセントとし、1日当たりについては0・3パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

昭和29年法律第100号
利息制限法
第1条(利息の制限)

 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一 元本の額が10万円未満の場合 年2割
二 元本の額が10万円以上100万円未満の場合 年1割8分
三 元本の額が100万円以上の場合 年1割5分

昭和58年法律第32号
貸金業法
第12条の8(利息、保証料等に係る制限等)

 貸金業者は、その利息(みなし利息を含む。第3項及び第4項において同じ。)が利息制限法(昭和29年法律第100号)第1条に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない。


○私が弁護士になったのは昭和55年4月からですが、昭和56年に初めてサラ金多重債務整理事件を受任しました。その当時貸金業法はなく、金利規制法は出資法と利息制限法だけで、出資法第5条2・3項規制はなく、武富士等のサラ金業者は、利息109.5%が当たり前でした。利息が109.5%を超えない限り罰則がなかったからです。ただ利息制限法が存在し、第1条2項に「債務者は前項の超過部分を任意に支払ったときは前項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない」と規定されていましたが、昭和43年11月13日最高裁判決で、超過利息を順次元本に充当し、計算上、元本債権が完済されて、元本が存在しなくなった後は利息が発生する余地はないことから、借り手は不当利得として完済後に支払った金額の全額を返還請求できるとされ、サラ金債務整理において利息制限法が威力を発揮しました。

○昭和58年に貸金業規制法が成立し、厳格な取立規制がされたのは良かったのですが、貸金業者は日歩20銭年73%までの金利は、一定の厳格な要件を満たす場合には、超過利息の支払いを有効な利息の返済とみなす規定(同法43条1項、みなし弁済規定)を設けられ、サラ金業者は、有効な利息支払として利息制限法適用に抵抗するようになり、みなし弁済規定を事実上否定する平成18年1月13日最高裁判決まで争いが続きました。

○その結果、平成18年改正法により、①利息制限法1条2項「債務者は、前項の超過部分を任意に支払ったときは、同行規定にかかわらず、その返還を請求することができない。」は廃止され、②出資法の刑罰金利が20%まで引き下げられ、③貸金業法43条(みなし弁済(任意弁済)規定)も廃止され(平成22年6月18日施行)、グレーゾーン金利はなくなりました。

○利息制限法上限金利は昭和29年成立以来変わりませんが、出資法の上限金利推移は以下の通りです。

昭和58年11月1日以前           109.5%
昭和58年11月1日~昭和61年10月31日  73%
昭和61年11月1日~平成3年10月31日   54.75%
平成3年11月1日~平成12年5月31日    40.004%
平成12年6月1日~平成22年6月17日    29.2%
平成22年6月18日~             20%



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