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家財道具を勝手に処分できる契約条項は適法と判断した高裁判決紹介

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令和 4年 3月26日(土):初稿
○1年前ですが、賃借人が賃料等の支払を2箇月以上怠り,家賃保証会社が、合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況の下,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ,かつ,賃借物件を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときに,賃借人が明示的に異議を述べない限り,賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を家賃保証会社に付与する条項が有効と認められた大阪高裁判決が報道されていました。

○不動産賃貸事業者の顧問もしていますが、確かに、賃料不払いが長く続き、且つ、賃借人も行方不明で連絡がつかず、賃借物件が長く放置されているような事案について、行方不明者に訴えを提起して、強制執行による明渡を求めるのは大変な手間暇がかかります。一定の要件の下に自力救済を認める条項が認められても良いなと思うときもあります。

○この高裁判決は、おそらく上告されたはずですが、上告審の結果はまだ公表されていません。
報道は以下の通りです。

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家賃滞納すると⇒家財道具を勝手に処分できる契約条項は「適法」と判断 大阪高裁
関西ニュース03/05 20:48

NPO法人「消費者支援機構関西」は2016年、家賃債務保証会社「フォーシーズ」を相手取り、契約条項の差し止めを求めて提訴しました。訴状などによりますと、「フォーシーズ」は賃貸物件の借り主が家賃を2ヵ月以上滞納したなどの場合、物件を明け渡したとみて室内の家具や荷物を無断で処分することを可能だとする契約条項などを定めています。

2019年の1審・大阪地裁判決は原告の訴えの一部を認め、条項の差し止めを命じましたが、大阪高裁は5日、家賃の滞納や連絡がとれないなどのいくつかの条件を満たしている場合「借り主は物件を住居として使用する意思を失っている可能性が極めて高く、占有権を放棄している」と判断し、1審判決を取り消して条項は適法としました。判決後の会見で、原告側の代理人弁護士は「本来なら裁判手続きを経て行われる物件の明け渡しを、契約条項があれば民間会社の判断のみで可能だとする判決。大きな問題がある」「事実上、『追い出し行為』を可能にしてしまう」と話し、上告を検討しているということです。


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判決文は大変長いものですので、結論の主文だけ紹介します。

一審令和元年6月21日大阪地裁判決(判タ1475号156頁、判時2448号99頁)
主文

1 被告は,住宅等の賃貸借契約の賃借人(以下「原契約賃借人」という。)その他消費者を相手方として,上記賃貸借契約(以下「原契約」という。)から生ずる賃貸人(以下「原契約賃貸人」という。)に対する賃料等債務につき保証を受託することを含む「住み替えかんたんシステム保証契約」(以下「本件契約」という。)を締結するに際し,別紙1契約条項目録記載の18条2項2号のような,原契約賃借人が賃料等の支払を2箇月以上怠り,被告において合理的な手段を尽くしても原契約賃借人本人と連絡がとれない状況の下,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から原契約の目的たる賃借物件(以下「賃借物件」という。)を相当期間利用していないものと認められ,かつ,賃借物件を再び占有使用しない原契約賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときに,原契約賃借人が明示的に異議を述べない限り,賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を被告に付与する条項を含む消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示をしてはならない。
2 被告は,前項に係る条項が記載された契約書ひな形が印刷された契約書用紙を廃棄せよ。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用はこれを5分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。

控訴審大阪高裁判決(裁判所ウェブサイト)
主文


(1)一審被告の控訴に基づき,原判決中,一審被告敗訴部分を取り消す。
(2)上記部分につき,一審原告の請求をいずれも棄却する。

(1)一審原告の控訴を棄却する。
(2)一審原告の当審における附帯控訴に基づく追加請求を棄却する。
3 訴訟費用は,第1,2審を通じ,すべて一審原告の負担とする。
以上:1,802文字

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