令和 3年 9月22日(水):初稿 |
○旧借地法の条文を検討しなければならない事案を抱えており、旧借地法全文のひらがな表記を紹介します。カタカナだと大変読みづらいのでひらがなにしました。漢数字は徐々に算数字に変換します。 ************************************** (借地権の定義) 第1条 本法に於て借地権と称するは建物の所有を目的とする地上権及賃借権を謂ふ (借地権の存続期間) 第2条 借地権の存続期間は石造、土造、煉瓦造又は之に類する堅固の建物の所有を目的とするものに付ては60年、其の他の建物の所有を目的とするものに付ては30年とす 但し建物か此の期間満了前朽廃したるときは借地権は之に因りて消滅す 契約を以て堅固の建物に付30年以上、其の他の建物に付20年以上の存続期間を定めたるときは借地権は前項の規定に拘らす其の期間の満了に因りて消滅す (契約を以て建物の種類及び構造を定めないときの借地権の存続期間) 第3条 契約を以て借地権を設定する場合に於て建物の種類及構造を定めさるときは借地権は堅固の建物以外の建物の所有を目的とするものと看做す (借地権者の契約更新の請求・建物等の買取請求権) 第4条 借地権消滅の場合に於て借地権者か契約の更新を請求したるときは建物ある場合に限り前契約と同一の条件を以て更に借地権を設定したるものと看做す但し土地所有者か自ら土地を使用することを必要とする場合其の他正当の事由ある場合に於て遅滞なく異議を述へたるときは此の限に在らす 借地権者は契約の更新なき場合に於ては時価を以て建物其の他借地権者か権原に因りて土地に附属せしめたる物を買取るへきことを請求することを得 第5条第1項の規定は第1項の場合に之を準用す (契約更新の場合における借地権の存続期間) 第5条 当事者か契約を更新する場合に於ては借地権の存続期間は更新の時より起算し堅固の建物に付ては30年、其の他の建物に付ては20年とす此の場合に於ては第2条第1項但書の規定を準用す 当事者か前項に規定する期間より長き期間を定めたるときは其の定に従ふ (土地使用の継続による契約の法定更新) 第6条 借地権者借地権の消滅後土地の使用を継続する場合に於て土地所有者か遅滞なく異議を述へさりしときは前契約と同一の条件を以て更に借地権を設定したるものと看做す此の場合に於ては前条第1項の規定を準用す 前項の場合に於て建物あるときは土地所有者は第4条第1項但書に規定する事由あるに非されは異議を述ふることを得す (借地権の消滅前の建物の築造による契約の法定更新) 第7条 借地権の消滅前建物か滅失したる場合に於て残存期間を超えて存続すへき建物の築造に対し土地所有者か遅滞なく異議を述へさりしときは借地権は建物滅失の日より起算し堅固の建物に付ては30年間、其の他の建物に付ては20年間存続す但し残存期間之より長きときは其の期間に依る (借地権者が更に借地権を設定した場合への準用) 第8条 前2条の規定は借地権者か更に借地権を設定したる場合に之を準用す (裁判所による借地条件の変更等) 第8条の2 防火地域の指定、附近の土地の利用状況の変化其の他の事情の変更に因り現に借地権を設定するに於ては堅固の建物の所有を目的とすることを相当とするに至りたる場合に於て堅固の建物以外の建物を所有する旨の借地条件の変更に付当事者間に協議調はざるときは裁判所は当事者の申立に因り其の借地条件を変更することを得 増改築を制限する旨の借地条件が存する場合に於て土地の通常の利用上相当とすべき増改築に付当事者間に協議調はざるときは裁判所は借地権者の申立に因り其の増改築に付ての土地所有者又は賃貸人の承諾に代はる許可を与ふることを得 裁判所は前2項の裁判を為す場合に於て当事者間の利益の衡平を図る為必要あるときは他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ其の他相当の処分を為すことを得 裁判所は前3項の裁判を為すには借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過其の他一切の事情を考慮することを要す 借地権者が更に借地権を設定したる場合に於て必要あるときは裁判所は後の借地権者の申立に因り其の者の借地権及前の借地権者の借地権に付第1項乃至第三項の裁判を為すことを得 裁判所は特に必要なしと認むる場合を除くの外第1項乃至第3項又は前項の裁判を為す 前鑑定委員会の意見を聴くことを要す (一時使用のため借地権を設定した場合の例外) 第9条 第2条乃至前条の規定は臨時設備其の他一時使用の為借地権を設定したること明 なる場合には之を適用せす (裁判所による賃借権の譲渡又は転貸の許可) 第9条の2 借地権者が賃借権の目的たる土地の上に存する建物を第三者に譲渡せんとする場合に於て其の第三者が賃借権を取得し又は転借するも賃貸人に不利となる虞なきに拘らず賃貸人が其の賃借権の譲渡又は転貸を承諾せざるときは裁判所は借地権者の申立に因り賃貸人の承諾に代はる許可を与ふることを得此の場合に於て当事者間の利益の衡平を図る為必要あるときは賃借権の譲渡若は転貸を条件とする借地条件の変更を命じ又は其の許可を財産上の給付に係らしむることを得 裁判所は前項の裁判を為すには賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情其の他一切の事情を考慮することを要す 第1項の申立ありたる場合に於て裁判所が定むる期間内に賃貸人が自ら建物の譲渡及賃借権の譲渡又は転貸を受くべき旨の申立を為したるときは裁判所は同項の規定に拘らず相当の対価及転貸の条件を定めて之を命ずることを得此の裁判に於ては当事者双方に対し其の義務を同時に履行すべきことを命ずることを得 前項の申立は第1項の申立の取下ありたるとき又は不適法として同項の申立の却下ありたるときは其の効力を失ふ 第三項の裁判ありたる後は第1項又は第三項の申立は当事者の合意あるに非ざれば之を取下ぐることを得ず 裁判所は特に必要なしと認むる場合を除くの外第1項又は第三項の裁判を為す前鑑定委員会の意見を聴くことを要す (裁判所による賃借権の譲渡の許可) 第9条の3 第三者が賃借権の目的たる土地の上に存する建物を競売又は公売に因り取得したる場合に於て其の第三者が賃借権を取得するも賃貸人に不利となる虞なきに拘らず 賃貸人が其の賃借権の譲渡を承諾せざるときは裁判所は其の第三者の申立に因り賃貸人の承諾に代はる許可を与ふることを得此の場合に於て当事者間の利益の衡平を図る為必要あるときは借地条件を変更し又は財産上の給付を命ずることを得 前条第2項乃至第6項の規定は前項の申立ありたる場合に之を準用す 第1項の申立は建物の代金を支払ひたる後2月内に限り之を為すことを得民事調停法(昭和26年法律第222号)第19条の規定は同条に規定する期間内に第1項の申立を為したる場合に之を準用す (準用規定) 第9条の4 第9条の2の規定は土地の転借人と賃貸人との間に、前条の規定は土地の転借人より競売又は公売に因り建物を取得したる第三者と賃貸人との間に之を準用す但し賃貸人が第9条の2第3項(前条第2項に於て準用する場合を含む)の申立を為すには転貸人の承諾を得ることを要す (建物等の取得者の賃貸人に対する買取請求権) 第10条 第三者か賃借権の目的たる土地の上に存する建物其の他借地権者か権原に因りて土地に附属せしめたる物を取得したる場合に於て賃貸人か賃借権の譲渡又は転貸を承諾せさるときは賃貸人に対し時価を以て建物其の他借地権者か権原に因りて土地に附属せしめたる物を買取るへきことを請求することを得 (借地権者に不利な契約条件の禁止) 第11条 第2条、第4条乃至第8条の2、第9条の2(第9条の4に於て準用する場合を含む)及前条の規定に反する契約条件にして借地権者に不利なるものは之を定めさるものと看做す (事情変更による地代又は借賃の増減の請求) 第12条 地代又は借賃か土地に対する租税其の他の公課の増減若は土地の価格の昂低に因り又は比隣の土地の地代若は借賃に比較して不相当なるに至りたるときは契約の条件に拘らす当事者は将来に向て地代又は借賃の増減を請求することを得 但し一定の期間地代又は借賃を増加せさるへき特約あるときは其の定に従ふ 地代又は借賃の増額に付当事者間に協議調はざるときは其の請求を受けたる者は増額を正当とする裁判が確定するに至るまでは相当と認むる地代又は借賃を支払ふを以て足る 但し其の裁判が確定したる場合に於て既に支払ひたる額に不足あるときは不足額に年1割の割合に依る支払期後の利息を附して之を支払ふことを要す 地代又は借賃の減額に付当事者間に協議調はざるときは其の請求を受けたる者は減額を正当とする裁判が確定するに至るまでは相当と認むる地代又は借賃の支払を請求することを得但し其の裁判が確定したる場合に於て既に支払を受けたる額が正当とせられたる地代又は借賃を超ゆるときは超過額に年1割の割合に依る受領の時よりの利息を附して之を返還することを要す (土地所有者又は賃貸人の先取特権) 第13条 土地所有者又は賃貸人は弁済期に至りたる最後の2年分の地代又は借賃に付借地権者が其の土地に於て所有する建物の上に先取特権を有す 前項の先取特権は地上権又は賃貸借の登記を為すに因りて其の効力を保存す 第14条 前条の先取特権は他の権利に対して優先の効力を有す但し共益費用不動産保存不動産工事の先取特権及地上権又は賃貸借の登記前登記したる質権抵当権に後る (管轄裁判所) 第14条の2 第8条の2第1項、第2項若は第5項、第9条の2第1項(第9条の4に於て準用する場合を含む)若は第3項(第9条の3第2項及第9条の4に於て準用する場合を含む)又は第9条の3第1項(第9条の4に於て準用する場合を含む)に定めたる事件は借地権の目的たる土地の所在地の地方裁判所の管轄とす但し当事者の合意ありたるときは其の所在地の簡易裁判所之を管轄することを妨げず (非訟事件手続法の準用等) 第14条の3 特別の定ある場合を除き前条の事件に関しては非訟事件手続法(明治31年法律第14号)第一編の規定を準用す但し同法第6条、第7条、第15条及第32条の規定は此の限に在らず 本法に定むるものの外前条の事件に関し必要なる事項は最高裁判所之を定む (民事訴訟法の準用) 第14条の4 裁判所職員の除斥、忌避及回避に関する民事訴訟法(明治23年法律第29号)の規定は第14条の2の事件に之を準用す (鑑定委員会) 第14条の5 鑑定委員会は3人以上の委員を以て之を組織す 鑑定委員は左の者の中より各事件に付裁判所之を指定す但し特に必要あるときは其の他の者に就き之を指定することを得 一 地方裁判所が特別の知識経験ある者其の他適当なる者の中より毎年予め選任したる者 二 当事者が合意に依り選定したる者 鑑定委員には最高裁判所の定むる旅費、日当及宿泊料を支給す (審問) 第14条の6 裁判所は審問期日を開き当事者の陳述を聴くことを要す 当事者は他の当事者の審問に立会ふことを得 (事実の探知及び証拠調) 第14条の7 裁判所は職権を以て事実の探知を為し及職権を以て又は申出に因り必要と認むる証拠調を為すべし 証拠調は民事訴訟の例に依り之を為す (審理終結の宣言) 第14条の8 裁判所は審理を終結するときは審問期日に於て其の旨を宣言すべし (即時抗告) 第14条の9 第八条の2第1項乃至第三項若は第5項、第9条の2第1項(第9条の4に於て準用する場合を含む)若は第3項(第9条の3第2項及第9条の4に於て準用する場合を含む)又は第9条の3第1項(第9条の4に於て準用する場合を含む)の裁判に対しては即時抗告を為すことを得其の期間は之を2週間とす 前項の裁判は確定するに非ざれば其の効力を生ぜず (裁判の効力) 第14条の10 前条第1項の裁判は当事者又は最終の審問期日後裁判確定前の承継人に対し其の効力を有す (強制執行に関して裁判上の和解と同一の効力を有する給付を命ずる裁判) 第14条の11 第8条の2第3項若は第5項、第9条の2第3項(第9条の3第2項及第9条の4に於て準用する場合を含む)又は第9条の3第1項(第9条の4に於て準用する場合を含む)の裁判にして給付を命ずるものは強制執行に関しては裁判上の和解と同一の効力を有す (裁判の失効) 第14条の12 第9条の2第1項(第9条の4に於て準用する場合を含む)の裁判は其の効力を生じたる後6月内に借地権者が建物の譲渡を為さざるときは其の効力を失ふ但し此の期間は其の裁判に於て之を伸長し又は短縮することを得 (民事訴訟法等の準用) 第14条の13 民事訴訟法第136条及第203条(和解に関する部分に限る)並に民事調停法第20条の規定は第14条の2の事件に之を準用す (記録の閲覧請求) 第14条の14 当事者及利害関係を疎明したる第三者は第14条の二の事件の記録の閲覧を裁判所書記官に請求することを得但し記録の保存又は裁判所の執務に支障あるときは此の限に在らず 民事訴訟法第151条第3項及第四項の規定は前項の記録に之を準用する (民事訴訟法の準用) 第14条の15 民事訴訟法第104条(第2項中同法第89条乃至第94条の規定を準用する部分を除く)の規定は第9条の2第4項(第9条の3第2項及第9条の4に於て準用する場合を含む)の場合に之を準用す 以上:5,482文字
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