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ファクタリング(債権買取)取引を消費貸借と認めない地裁判決1検討2

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令和 3年 4月 1日(木):初稿
○「ファクタリング(債権買取)取引を消費貸借と認めない地裁判決1検討」を続けます。
ファクタリング(債権買取)名下に受領した金額と返還した金額について、貸金とした場合の利息は以下の通りになります。
平成29年2月14日約280万円受領、同月28日340万円返還(差額60万円)は、
280万円×利率×14/365=60万円から、利率=60万円÷280万円×365/14=5.5867=年利率558%
同様に
同年5月31日約730万円受領、同年6月30日840万円返還(差額110万円)は、年利率177%
473万円を410万円(差額63万円)で売却し、仮に20日後に473万円を返還した場合、年利率280%
633万円を550万円(差額83万円)で売却し、仮に20日後に633万円を返還した場合、年利率275%
748万円を650万円(差額98万円)で売却し、仮に20日後に748万円を返還した場合、年利率275%
1050万円を910万円(差額140万円)で売却し、仮に20日後に1050万円を返還した場合、年利率280%


○以上の通り、この事案でのファクタリングと称する金銭の遣り取りは、貸金とすれば年利率200数十%の大変な高利率の貸付となり、貸金業法第42条1項違反、出資法第5条違反の完全な違法行為です。
貸金業法第42条(高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効)
 貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつて金銭を交付する契約を含む。)において、年109・5パーセント(2月29日を含む1年については年109・8パーセントとし、1日当たりについては0・3パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は、無効とする。
2 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条の4第1項から第4項までの規定は、前項の利息の契約について準用する。

出資法第5条(高金利の処罰)
 金銭の貸付けを行う者が、年109・5パーセント(2月29日を含む1年については年109・8パーセントとし、1日当たりについては0・3パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年20パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。


○ファクタリング(債権買取)と称する契約でも、以下のような契約・約款が伴う行為は、実質貸金であると解されている(参考;金融庁見解等)。
①ノンリコース(償還請求なし)の契約で、譲渡人に請求する行為
②買戻し特約が付された契約
③回収業務委託契約を締結し、代表者保証、第三者保証を付する契約
④売買債権以外の第三債務者の債権を譲渡担保とする契約
⑤契約終了した債権譲渡通知書を返却せず、流用して送付、回収する行為
⑥債権譲渡通知を留保する契約
⑦譲受人が債権譲渡通知書(電子内容証明を含む)を作成して送付する行為
⑧取引に関係のない親族、会社等に架電して請求する行為
⑨譲渡人を恐喝して、譲渡代金の回収を図る行為


○ノンリコース(償還請求なし)とは、売掛先が倒産したり赤字経営になって、ファクタリング会社に売掛金の支払いが出来なくなっても、利用者(債権譲渡人)に支払義務が発生しないことで、ファクタリングである以上は、当然のことですが、そのように謳いながら、実際、売掛先倒産等で債権回収できないとして、譲渡人に請求する行為があれば、債権買取危険負担をファクタリング会社が負わないことになりますので、ファクタリングではなく実質貸付と判断される可能性が高くなります。逆に言えば、ウィズリコース(償還請求あり)のファクタリングは、当初から債権買取危険負担をファクタリング会社が負わないので実質貸付です。

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