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2021年04月01日発行第290号”弁護士は何で生きるか(2)”

令和 3年 4月 2日(金):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和3年4月1日発行第290号「弁護士は何で生きるか(2)」をお届けします。

○弁護士が懲戒処分を受ける要件は、原則として、弁護士法や弁護士会内部で決めた弁護士職務基本規程に違反した場合で、処分は、軽い方から「戒告」、「業務停止」、「退会命令」、「除名」となっています。日弁連機関誌「自由と正義」に記載されている懲戒例を見ると、確かにこれで一番軽い「戒告」で済むのかと驚くこともあります。弁護士会が身内に甘いと批判される理由になります。ネット検索すると弁護士の資格を失う懲戒処分「退会命令」を受けた弁護士の例116件中9件が会費未納になっていました。

○大山先生言われる「相手を思いやって言葉を選ぶ方が、相手に伝わる」のはホントに実感します。人間は、相手にどう思われているのかについては、直感的に良く判るものです。悪く思われているすなわち愛の感じられない相手からの言葉は、どんな立派な言葉でも心に響きません。相手に愛を感じて貰うには、愛を持たなければなりません。お客様によっては、これが結構難しいこともありますが、努力しかないですね。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士は何で生きるか(2)


前回の続きです。神の命令に逆らって、幼児のいる母親を天に召すことしなかった天使の話です。神様から出された3つの質問の1つ目に対して、「人の中にあるのは愛だ!」と悟ったのが前回です。

今回は2番目の質問、「人に許されていないことは何か?」から検討します。ただ、以前このトルストイの民話を読んだときには、「結局天使に許されていなかったことは、神様の命令に逆らうことじゃん?」なんて思ったのも事実です。

この天使は、心に愛をもって、幼子がいる母親の命を奪うのを止めました。でもそれは、神の命令に背いていたから、罰せられたわけです。そうしますと、ひねくれているようでも、「人でも天使でも許されていないのは、命令に背くこと」だと考えてしまうのです。この点に関連しまして、「弁護士に許されていないことは何か?」という問題があります。弁護士も一般人に許されていないことは、同じように許されません。

さらに加えて、弁護士として、絶対に許されないことは何かという問題です。回答、分かりますでしょうか? 弁護士として許されない行為をした場合は、弁護士会が懲戒処分とします。軽い処分は単なる注意・警告にとどまりますが、一番重い処分になると、弁護士資格を失うことになります。少し前に、着手金を受け取っただけで、仕事をしない弁護士が懲戒処分になったというニュースがありました。この人、それまでに何回も懲戒を受けています。今回も、お客様から問題提起されているのに、着手金の返金さえしないという悪質ぶりです。「これだけ酷いことをしてるなら、弁護士資格取り上げるべきだ」と一般の人なら思うはずです。

ところが、現実に弁護士会が下した処分は、業務停止6か月でした。その一方、弁護士会に会費を納めないという「極めて悪質な非行行為」の場合は、一発で弁護士資格を失います。「弁護士に許されていないこと」は、「庇ってくれる弁護士会に会費を払わないこと」なんです。わ、私も気を付けます。

トルストイの民話に戻りますと、靴屋で職人として働いている天使のもとに、傲慢な金持ちが来て、長く使える靴を事細かに依頼します。
しかし天使には、その男が今晩にも死ぬことが分かります。ところがその男は、自分が何時までも元気だと思って注文している。そこで天使は、2つめの質問の答えが分かります。「人には、自分には何が必要なのか、知ることが許されていない。」 この回答については、皮肉でなく本当にそうだと思ったのでした。聖書の中で、イエスが神への正しい祈り方を教えていたはずです。何かを求めて祈ってはいけない。

ただ、「御心のままに」とだけ祈りなさいという教えです。人間には、何が自分にとって必要か分からないのだから、というわけです。弁護士の仕事でも、結果が思わしくないことなどよくあります。精一杯努力した上で、「結果」は「一番良いもの」なんだと信じて、前向きに生きていくことは大切だと思います。(そうは言っても、本当は落ち込んじゃいますけど。)

天使は最後に、「人は何で生きるか」という質問に向かいます。そして、自分が天に連れて行った女性の子供が、周りの人たちの愛情で生きていたことを知ったとき、答えが分かります。「人は、愛があるから生きる」ということだそうです。トルストイ先生には悪いのですが、今一つ釈然としない。「愛」と同じくらい、国の救貧政策が重要ではなんて思ってしまうのです。

その一方、心に愛があることは大切だなと感じているのも確かです。私自身、同じことを伝えるにも、相手を思いやって言葉を選ぶ方が、相手に伝わると感じています。内容的には同じことでも、「相手を論破してやろう」と思って言う場合では、言われた相手の受け止め方も全く違いますね。心に愛がある弁護士になりたいものです。

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◇ 弁護士より一言

ニュースレターも今回から13年目に入ります。この「一言」では、子供の可笑しな話を取り上げてきましたが、流石に成長した子供をネタにするのは、はばかられるのです。「そもそも大きくなった子供が変なこと言ってるなんて、おバカが露見して恥ずかしくて書けないよ」と愚痴ったら、「そんなこと気にしてどうするの。みんな失敗して成長するんだよ!」と娘に言われました。お、お前が言うのか。でも、これからも書くことを許されたようで嬉しかったのです。
以上:2,414文字

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