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裁判所の競売・税務署等の公売で農地を取得する方法覚書

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平成24年 6月13日(水):初稿
○裁判所競売或いは税務署・自治体等の公売の手続で農地を取得する方法を質問されました。以下、東京地方裁判所民事執行センター作成「競売ファイル・競売手続説明書(再訂版)6-1 農地売却の詳細説明」に基づく私の覚書です。

農地売却の詳細説明

1 買受適格証明書の必要
 農地の売却について、 期間入札又は特別売却による買受けを希望するときは、原則として、市町村の農業委員会等が発行する買受適格証明書が必要です。買受適格証明書が必要な農地である場合には、 公告書にその旨の表示があります。

※競売対象不動産が農地の場合、以下の農地法の規制があります。
農地法第3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用賃借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。


 そのためこの規定に叶う即ち農業委員会の許可を受ける可能性を証明する農業委員会等が発行する買受適格証明書がないと入札等買受申込が出来ず、農地法施行規則で以下の様に規定されています。
農地法施行規則第33条(買受けの申出をすることができる者の制限)
 執行裁判所は、法令の規定によりその取得が制限されている不動産については、買受けの申出をすることができる者を所定の資格を有する者に限ることができる。


2 買受適格証明書が不要な場合
 農地の買受けであっても、買受人が以下の資格の場合は、買受適格証明書が不要です。
(1)国又は都道府県
(2)地方公共団体又は農業協同組合が特定農地貸付けの用に供する買受け
(3)担保権の実行としての競売においての所有者(債務者でもある場合を除く。)

3 買受適格証明書とは
 農地について所有権を移転するときは、上記農地法の規定により、原則として、農業委員会等の許可(届出で足りる場合もあります。)を受けなければなりません。
 そこで、競売手続においては、農地の買受けを希望する人は、買受適格証明の申請を農業委員会等に対して行い、農業委員会等は、上記の農地法上の許可の申請(又は届出) があった場合と同様の審査を行います。

 買受適格証明書を取得した人が最高価買受申出人又は特別売却の買受申出人と定められた場合は、改めて農業委員会等から所有権移転の許可書(又は届出受理通知書)を取得しなければなりません。

 買受適格証明書を発行する官庁は、原則として、買受希望者が対象物件と同一市町村に居住する場合は物件所在地の市町村の農業委員会で、その他の場合は都道府県知事ですが、例外もあります。

※買受適格証明書は、あくまで農地法第3条の要件を満たす可能性があることを証明するだけであり、売却の決定には、農地法第3条の規定による「業委員会等から所有権移転の許可書」が必要になります。

4 買受適格証明書を取得するには
 まず、 対象物件所在地の市町村の農業委員会に照会して、 買受適格証明書を受けるにあたって、 どのような手続が必要なのかを確認してください。その際、農業委員会が開催される時期についても、確認してください。開催時期によっては、競売のスケジュールとの関係で、 期間入札又は特別売却に間に合わないこともありますので、注意してください。

 農業委員会によっては、 当該農地が競売による売却の手続中であることの証明書を求められることがあります。その場合、執行裁判所に対してこの証明書の交付申請をしてください。

5 買受適格証明書が発行されない場合
 買受けをしようとしても、農業委員会等の審査の結果、買受適格証明書が発行されない場合があります。このような場合は、 入札をすることができないことになります。主に次に該当する場合は、 買受適格証明書が発行されない可能性があります。
(1)小作地について、その小作農又はその世帯員等以外の者が買受けをしようとする場合(例外あり-許可申請6か月以内に小作農が書面で同意している場合等)

(2)取得後に耕作等の事業に供すべき農地のすべてについて、自ら耕作等の事業を行うものと認められない場合(市街化区域内の土地は除く。)

(3)当該農地を取得した後、利用する土地の合計面積が一定の広さに達しない場合

6 入札にあたって
 買受適格証明書が必要な物件については、 入札書に買受適格証明書を添付して、 執行官に持参又は郵便もしくは信書便により送付してください。具体的な入札の方法については、執行官室にお尋ねください。
特別売却における買受けの申出についても、買受適格証明書を添付する必要があります。

7 最高価買受申出人と定められた場合(又は特別売却における買受申出人となった場合) のその後の手続
(1)買受申出人証明書の取得

 期間入札の開札の結果、 最高価買受申出人と定められた場合、又は特別売却による買受申出人となった場合、まず、執行裁判所に対して、自分が最高価買受申出人(又は買受申出人)であることを証明する文書を交付するよう求める必要があります。
 この証明文書としては、期間入札調書の謄本(抄本)が該当しますが、 農業委員会によっては、別の最高価買受申出人であることの証明書を求めるところもあります。

 具体的にどのような書面が必要なのかを農業委員会に確認した上、 執行裁判所の窓口にその書面の交付を申請してください。

(2)農地法上の許可申請
 執行裁判所から① の書面を受領してから、その書面を添付して、農業委員会等に対して農地法上の許可申請(又は届出)をしてください。

(3)許可書等の提出
 許可又は届出の受理があったときは、その許可書(又は届出の受理通知書)を執行裁判所に提出してください。その提出時期は、原則として、あらかじめ定められた売却決定期日までですが、農業委員会等の関係で、許可等がなされるまでに相当の日数を要し、売却決定期日までに提出できないときは、 執行裁判所に対して売却決定期日の変更申請をする必要がありますので、その場合は執行裁判所にご相談ください。

(4)売却決定
 執行裁判所では売却決定期日において、許可書(又は届出の受理証明書)を確認の上、売却許可決定をするかどうかを判断します。

(5) 売却許可決定後の手続
 売却許可決定後の手続は、農地以外の入札の場合と同様であり、売却許可決定がなされたときは、その決定が確定した後で、代金納付期限が定められ、執行裁判所から、その期限及び残代金以外に必要な費用や提出書類が記載された通知が届くことになります。

以上:2,712文字

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