平成20年 9月26日(金):初稿 |
○当事務所では、多重債務整理事件は比較的多い方と思っておりますが、平成20年は平成19,18年に比較して20%程度減少しています。弁護士会で実施している無料でのサラ金・クレジット債務整理相談は、事務所待機制と会館相談制と2通りあり、数ヶ月に1回程度担当が回ってきますが、平成20年に入ってからは、この無料相談に訪れる方の数も相当程度減少しているように感じます。 ○それでも多重債務整理相談の方の中にサラ金・クレジット会社と長期間取引があって、過去の取引履歴を取り寄せると過払いになっている事案は相当あり、サラ金・クレジット会社に対する過払金返還請求事件はまだまだ残っています。 ○ところが、ここ数ヶ月、過払金返還請求をしても払い渋るサラ金業者が増えてきました。以前は請求額の8,9割程度の支払を受け和解していたサラ金業者が、最近は1~3割程度しか支払えない、それ以上支払えと言うならどうぞ訴えを提起されて結構ですと,開き直るサラ金業者が増えています。 ○そこで訴えを提起すると担当者が出てきて、やはり、2割程度しか支払えないと訴え、裁判官からもこの業者は、2割程度でないと和解しませんよ、判決を得て執行しても回収できるかどうか判りませんから2割での和解でもやむを得ないのでは、なんて示唆を受けたこともあります。 ○2割では到底和解できないと判決を得て、取引銀行口座を差し押さえたら、残高数百円で,且つ、数十名から差押を受けており,取引銀行から供託するなんて回答が来た例もあります。そのサラ金業者をA社として、依頼者BさんがA社に50万円の過払金返還請求権を有しているところ,依頼者Cさんは取引期間が短くA社に対し利息制限法所定計算をしても残金50万円ある場合、CさんがBさんから50万円の過払金返還請求権の債権譲渡を受けて相殺して支払を拒否し、BさんはCさんから長期分割ででも返還を受けるなんてことが出来ないかと思っていたら、「田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)」平成20年9月24日記事に以下の記述がありました。 一番腹が立つのが、負債が残ると一括で返せと言ってくるのに、過払いの場合だと、判決が出ても無視してくる業者です。その対策として、過払いの方から債権譲渡を受けて相殺という議論もあるようですが、法律問題以前に、弁護士倫理上何か問題がありそうで、なかなか踏み切れません。 今考えているのが、過払金の債務名義で、負債の残っている借入金を差し押さえるという方法を考えていますが、弁護士倫理上大丈夫なのでしょうか? 債権者と第三債務者が依頼人の場合になるのですが、債権者と第三債務者の同意を得ておれば、弁護士倫理上問題ないようにも思われますが、それでいいのか、誰かご教示してください。 ○過払金返還請求事件を扱う弁護士は,皆、同じようなことを考えているはずであり、各サラ金業者毎の過払返還請求権情報センターでも作って前記Cさんの立場の方がBさんの過払金返還請求権を買い取ってA社への支払を拒否できるような仕組みが出来ればと思っていますが、先ず、無理でしょうね(^^;)。 以上:1,275文字
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