平成18年10月24日(火):初稿 |
○「宅地建物取引業者と宅地建物取引主任者の責任」で取引主任者は重要事項説明書の交付と説明となす義務があり(宅建業法第35条以下)、これが宅建取引主任者の最も重要な職務ですと説明しましたが、今回は、この重要事項について検討します。 ○宅建業法第35条では、重要事項の説明等として「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第5号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」と定めています。 ○大変、込み入って判りづらい条文ですが、過去の不動産取引において対象物件の説明や或いは売買条件についての説明がいい加減なことが多くて後で紛争が頻発したため、宅建業者に対し、契約成立の前に不動産取引の専門知識を持った取引主任者をして、少なくともこれだけのことは書面に詳しく記載し、且つその書面を当事者に交付して、書面を見せながら判りやすく説明させなさいというものです。 ○少なくともこれだけのこととは、まとめると (1)取引物件に関する事項 ①登記内容、②法令に基づく制限、③私道に関する負担等、④区分所有建物に関する一定事項 (2)取引条件に関する事項 ①代金等金銭の額と授受の目的、②契約の解除条件等、③損害賠償の予約・違約金等、④手付金の保全措置、⑤支払金・預り金の保全、⑥ローンのあっせん、⑦割賦販売の場合の取引条件、⑧リゾートクラブ会員権の取引、⑨不動産小口化商品の取引、 等々です。 ○問題は宅建業法第35条に定型化された事項だけ説明すれば良いのかと言うとそうではありません。宅建業法第47条には業務に関する禁止事項として、「宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次の各号に掲げる行為をしてはならない。 1.重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」と定められており、ここでの「重要な事項」とは、第35条に定型化された事項に限らず何をもって「重要な事項」とするからは、不動産取引について高度な専門知識を有する取引主任者が各取引毎にケースバイケース判断することになります。 ○その判断基準は、宅建業法第31条で宅建業者は、業務を処理するに当たり誠実義務を負っており、同法1条の目的である「取引の公正とを確保」、「購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ること」等があり、正に取引主任者の良識が問われることになります。 以上:1,173文字
|