平成17年10月18日(火):初稿 |
○更新情報です。 借地借家の建物に「空室補償へ互助会」を追加しました。毎日新聞の平成17年10月15日記事の抜粋です。この記事によると「国の統計によると、平成16年の自殺者は3万2325人。殺人事件は1419件発生し、うち6割近い823件が住宅内で起きた。」とあります。 ○アパート等賃貸建物で自殺や殺人事件が発生した場合、その部屋は勿論、アパート全体の入居率が悪くなると思われます。これらの損害については、「損害が目に見えるものについては大抵、保険商品があるが、怨(おん)念とか霊とか非科学的なものへの恐れや縁起かつぎには個人差があり、それを保険商品にするのは難しい。」とのことでこれをカバーする保険もありません。 ○そこで「民間の賃貸住宅で自殺や殺人事件が発生し、借り手がつかなくなった場合、家賃相当額を当面補償する全国初の互助会が発足した。」とのことです。 ○私が相談を受けたケースは自殺でしたが、殺人事件の場合は更に発生する損害は大きいものと思われます。理論上は、殺人犯に借り手が付かなくなった分についての逸失利益、内装費用等の損害賠償請求が出来るはずですが、仮に1000万円支払えとの判決を得ても殺人犯から回収することは殆ど不可能でしょう。 ○自殺の場合は悲しみに沈む遺族に損害賠償請求まですることは躊躇われ、更に遺族が相続放棄した場合はどうにもなりません。更に請求をしても平成17年10月17日更新情報で紹介したように必ず認められるとは限りません。 ○とすれば自分達でこれらの損害をカバーする自衛策を講じなければならず「空室補償へ互助会」発足となりましたが、私は自殺の場合は、自殺者が賃借人本人であっても家族等同居者であってもそれによって賃貸人側に発生する損害について賃借人は原則として賠償責任を負うと考えるべきと思っております。 ○問題は損害の内容です。先ず損害として認められる空室期間賃料額をどの程度にすべきかですが、これは立地条件等を考慮してケースバイケースで考えるしかありません。次に縁起が悪いと言うことで内装一新した場合、その内装費がどの程度認められるかも自殺の態様等を考慮してケースバイケースで考えるしかなく、損害額判定は相当難しいと思われます。 ○「空室補償へ互助会」では、「1室あたり月300円の掛け金で、発生した部屋が空室になった場合、月額10万円までを自殺で最大1年間、他殺では最大3年間補償。また、隣接する部屋(4室まで)も同額を最大1年間補償する。」とのことで妥当なところでしょう。 以上:1,043文字
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