平成17年 7月20日(水):初稿 |
○出資法違反に至らなくても利息制限法違反の利息合意は民事的には無効であり、無効な利息は遡って元本に充当でき、充当後、支払い過ぎがある場合は、過払金として返還請求が出来ます。 ○この過払いとなるかどうかの判定には過去の取引経過がハッキリしなければなりませんが、サラ金等を利用して法律事務所に来る方の殆どは過去の取引経過を立証する領収証、振込証等の立証資料を持っていません。皆さん、サラ金利用を家族に知られたくないため廃棄しているからです。 ○そこでサラ金事件を依頼された弁護士は、取引先サラ金業者に過去の取引履歴を出すように要請します。サラ金業者は、サラ金規制法19条の帳簿の備付け義務により、「その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。」からです。 ○過去の取引履歴開示要求に対しサラ金業者は、保存義務はあっても開示義務はないと一定期間の取引を開示するも全取引の開示は拒否する例が多かったのですが、今般、開示義務を認める画期的最高裁判決が出ました。 ○新聞記事によると「判決は、貸金業規制法が取引履歴の保存義務を定める一方で、開示への協力を求める金融庁の指針があることを指摘。「これらの規定は、貸金業者の業務を適正化し、債務者との紛争を未然に防止するのが目的だから、開示拒否は許されないと結論」づけました。 ○当事務所でも過去の取引履歴を開示しないサラ金業者に対し、多くの訴えを提起しており、殆どの業者は訴えを出すと大幅に譲歩して過払金返還を申し出てきて、判決に至る前に和解で解決して来ました。 ○しかし中にはしぶとく抵抗するサラ金業者もおり、先般、借入金額は数十万円でさほど大きくありませんが、取引期間が20年近くに渡った方の代理人として訴えを提起していた事案について、400万円近い過払金返還を認める判決を取りました。取引経過の半分以上は証拠資料が無く推測でしたが、被告サラ金業者がその間の取引経過を開示しなかったため、裁判官はこちらの主張を全て認めてくれました。 ○現在も多くの過払金返還を求める訴えを準備中ですが、上記最高裁判決は、強い味方になるものです。 利息制限法を超えた利率での違法貸付が減ってくることも期待し、過払事案は訴えを提起しても過払金を取戻すことに徹して行きたいと思っております。 以上:1,009文字
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