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親子関係不存在確認の訴えの確認の利益判断最高裁判決紹介

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令和 4年 7月 8日(金):初稿
○親子関係不存在確認の訴えについて確認の利益について判断した平成4年6月24日最高裁判決(裁判所ウェブサイト)を紹介します。
事案は次の通りです。
亡C__________亡D
   |  |   |
  亡A 亡B 亡E
   |
  上告人(亡C・Dの孫)

亡Aは昭和25年、亡Eは平成14年、亡Bは平成29年にそれぞれ死去
上告人が検察官に対し、亡C・Dと戸籍上の子亡Eの親子関係不存在確認を求めたが、原審福岡高裁では、本件各親子関係が不存在であることにより自己の身分法上の地位に直接影響を受けることはないから、本件訴えにつき法律上の利益を有しないと判断して、これを却下


○被相続人亡C・D遺産について亡Eと亡C・Dに親子関係があれば、法定相続分は亡A・B・E各3分の1のところ、亡Eと亡C・Dに親子関係がないとすれば、亡C・Dの相続人は亡A・Bだけになり、法定相続分は各2分の1になります。従って亡C・Dの孫と言うことは、亡A・Bいずれかの子である上告人の法定相続分も、亡Eが亡C・Dと親子関係があるかどうかで異なります。

○然るに本件各親子関係が不存在であることにより自己の身分法上の地位に直接影響を受けることはないと判断した原審福岡高裁の判断理由と詳しい事案を知りたいところです。しかし第一審鹿児島家裁審判・原審福岡高裁の判決文は、私が持っている判例データベースでは見つかりません。

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主   文
原判決を破棄し、第1審判決を取り消す。
本件を鹿児島家庭裁判所に差し戻す。 
 
理   由
上告代理人○○○○の上告受理申立て理由について
1 原審の確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
(1) 亡A及び亡Bは、亡Cと亡Dとの間の子であり、亡Eは、戸籍上亡Cと亡Dとの間の子とされている者である。
(2) 亡Aは昭和25年に、亡Eは平成14年に、亡Bは平成29年に、それぞれ死亡した。亡Bの戸籍上の法定相続人は、亡Aの子である上告人外1名及び亡Eの子ら3名である。

2 本件は、上告人が、検察官に対し、亡Eと亡C及び亡Dとの間の各親子関係(以下「本件各親子関係」という。)の不存在の確認を求める事案である。

3 原審は、上記事実関係等の下において、上告人は、本件各親子関係が不存在であることにより自己の身分法上の地位に直接影響を受けることはないから、本件訴えにつき法律上の利益を有しないと判断して、これを却下すべきものとした。

4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 前記事実関係等によれば、上告人は、亡C及び亡Dの孫であり、亡Eの戸籍上の甥であって、亡Bの法定相続人であるところ、本件各親子関係が不存在であるとすれば、亡Bの相続において、亡Eの子らは法定相続人とならないことになり、本件各親子関係の存否により上告人の法定相続分に差異が生ずることになる。

親子関係の不存在の確認の訴えを提起する者が当該訴えにつき法律上の利益を有するというためには、当該親子関係が不存在であることにより自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けることを要すると解されるところ(最高裁昭和59年(オ)第236号同63年3月1日第三小法廷判決・民集42巻3号157頁参照)、法定相続人たる地位は身分関係に関するものであって、上告人は、その法定相続分に上記の差異が生ずることにより、自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けるということができる

 以上によれば、上告人は、本件訴えにつき法律上の利益を有するというべきである。

5 これと異なる見解の下に、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、第1審判決を取り消し、更に審理を尽くさせるため、本件を第1審に差し戻すべきである。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 岡村和美 裁判官 菅野博之 裁判官 三浦守 裁判官 草野耕一) 
以上:1,707文字

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