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死因贈与契約に民法第1022条適用を認めた最高裁判決紹介

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令和 4年 2月11日(金):初稿
○「死因贈与契約に民法第1022条適用を認めた高裁判決紹介」の続きで、その上告審昭和47年5月25日最高裁判決(判タ283号127頁、判時680号40頁)全文を紹介します。

○事案概要を復習すると、以下の通りです。
・X1ら6名(原告・控訴人・被上告人)は亡Aの子であり、Y(被告・被控訴人・上告人)はAの妻
・Aは、生前、Yに対し、書面によつて本件不動産の死因贈与をしていたが、Yとの関係が冷却したので、死因贈与の取消をしたのち死亡
・Yは、この死因贈与に基づき仮登記仮処分を得、本件不動産につき仮登記を経由
・X1らは、Yに対し、本件不動産について共有持分権の確認を求めるとともにYのなした右仮登記の抹消登記手続を訴求


○争点はいくつかありましたが、最大の争点は、死因贈与について遺贈の取消(正確には撤回)に関する民法1022条の準用があるかでした。民法554条は、死因贈与は「遺贈ニ関スル規定ニ従フ」と規定していますが、その準用の範囲を明らかにしていないために、解釈によつて決定しなければならないからです。

○遺贈と死因贈与は、いずれも死因処分であつて、その経済的目的が同じであるので、前者の規定が後者に準用されますが、前者が単独行為、後者が契約なので、遺贈の規定のうち、遺贈が単独行為であるために設けられた規定は、死因贈与に準用されないと解されています。そして、遺言の効力に関する規定は準用されいますが、遺言の方式、遺言能力、放棄、承認に関する規定は準用されないと解するのが通説でした。

○しかし、遺贈の撤回に関する民法1022条の準用をめぐつては、古くから肯定説と否定説とが対立し、学説の多数説と大審院の判例(大判昭16・11・15判例体系12Ⅱ107)は、肯定説でした。否定説も有力に主張されていましたが、本判決は、大審院の判例を踏襲し、最高裁としては最初の判例として、肯定説を取りました。

○しかし、その後の判例では、肯定説を前提としながらケースバイケースで、実質否定しているものも散見され、徐々に紹介します。

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主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理  由
上告代理人○○○○の上告理由第一点および第二点について。
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯することができ、この認定判断の過程に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

同第三点について。
所論は、原判決には、死因贈与について遺言の取消に関する民法1022条の準用を認めた法令の解釈適用の誤りがあり、かつ、本件死因贈与は夫婦間の契約取消権によつて取消しえないものであると解しながら、右民法1022条の準用によつてその取消を認めた理由そごの違法がある、というものである。

おもうに、死因贈与については、遺言の取消に関する民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。けだし、死因贈与は贈与者の死亡によつて贈与の効力が生ずるものであるが、かかる贈与者の死後の財産に関する処分については、遺贈と同様、贈与者の最終意思を尊重し、これによつて決するのを相当とするからである。そして、贈与者のかかる死因贈与の取消権と贈与が配偶者に対してなされた場合における贈与者の有する夫婦間の契約取消権とは、別個独立の権利であるから、これらのうち一つの取消権行使の効力が否定される場合であつても、他の取消権行使の効力を認めうることはいうまでもない。それゆえ、原判決に所論の違法は存しないというべきである。論旨は、独自の見解に立脚して、原判決を非難するものであつて、採用することができない。

同第四点について。
原判決は、被上告人X1を除くその余の被上告人らについては、その申立の限度で請求を認容したものである。それゆえ、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用するに足りない。

同第五点(一)について。
記録に徴し本件訴訟の経過に鑑みれば、原審が所論の証拠調をしなかつたとしても違法とはいえない。原判決には所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第五点(二)について。
所論は違憲をいうが、その実質は、原判決に民訴法違背がある旨の主張にすぎないところ、本件記録に徴すれば、被上告人らの主張には、訴外Aが上告人に対する本件土地建物の死因贈与の意思表示を撤回した旨の主張が含まれている旨の原審の判断は正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(岸盛一 岩田誠 大隅健一郎 藤林益三 下田武三)

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