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遺産不動産共有持分権譲受第三者共有物分割訴訟認容最高裁判決解説

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平成26年 2月24日(月):初稿
○「遺産不動産共有持分権譲受第三者共有物分割訴訟認容最高裁判決全文紹介」の続きで、私なりの説明です。

○先ず事案概要です。
・本件土地建物は、亡Cまたは亡Dの遺産であつて、被上告人Yと訴外Bが各2分の1の持分をもつて相続した
・上告人Xは、訴外Bから、本件建物2分の1持分権を贈与された
・Xは、Yに対し、共有物分割と共有権確認請求の訴えを提起したところ、一審はこれを認めるも、二審は共同相続人は遺産分割以前に遺産を構成する個々の財産につき共有物分割訴詮を提起できず、共同相続人から個々の財産についての共有持分権を譲り受けた第三者も右訴訟を提起することは許されないとして、本件共有物分割訴訟を不適法としたのでXが上告

○これに対する上告審が、昭和50年11月7日最高裁判決(判時799号18頁、判タ329号115頁)で判示概要は以下の通りです。
・共同相続人が分割前の遺産を共同所有する法律関係は、基本的には民法249条以下に規定する共有としての性質を有する(最高裁昭和28年(オ)第163号同30年5月31日第三小法廷判決・民集9巻6号793頁)
・共同相続人から遺産である特定不動産共有持分権を譲渡された第三者は、他の共同相続人とともにこの不動産について民法249条の共同所有関係になる
・第三者が右共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、民法907条に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割訴訟である
・当該譲渡部分は遺産分割の対象から逸出するものと解すべきである

○旧民法時代の相続は、家督相続の場合、単独相続でしたが、遺産相続の場合は共同相続が行われ、遺産分割の必要がありました。しかし、旧民法には、遺産分割のための特別手続がなかったので、強制的分割方法としては共有物分割訴訟によっていました。それが、新民法では、相続はすべて共同相続になり、遺産分割審判がもうけられました。ところが、立法の際に共有物分割と遺産分割の調整が十分にされれず、明文上両者の関係が明らかでなく、解釈上の疑義が生じていました。

○とくに、民法909条但書(第三者保護)の新設により共同相続人以外の第三者が保護されるべき立場で法律関係に関与することが許されました。この第三者を手続上どのように扱うべきかの問題が生じ、この解釈に決着を付けたのが本件判決で、それまでは、
①遺産分割手続によるべきとする説(原判決である昭和46年10月28日大阪高裁判決、判例時報657号58頁)、
②原則としては遺産分割審判によるべきであるが、例外的には共有物分割訴訟によることができるとする説(川去健・判例評論161号28頁、品川考次・判例タイムズ288号86頁)、
③共有物分割訴訟によるべきであるとする説
に分かれていました。

○①説は、第三者を共同相続人と同一の地位に立つものとして扱い、譲渡持分部分も総合的な遺産分割の対象になるとするもので、②説の川井説も同旨で、第三者に遺産分割申立権=当事者権を与えるものでした。②説の品川説は、譲渡持分部分は遺産分割の対象から逸出するが、残余持分部分はなお遺産分割の対象であり、譲渡された持分権による分割訴訟を認めると、残余部分までも遺産分割の対象から逸出する不当な結果が生じるから、分割訴訟は認めるべきでないとして、第三者に当事者としての遺産分割申立権を与えず、債権者代位権の行使を認めるだけでした。

○これに対し、本判決は、③説をとり、譲渡持分部分は遺産分割の対象から逸出するとし、分割判決があっても、残余持分部分はなお遺産分割の対象になると解すべきであるとしていましたが、平成25年11月29日最高裁判決がこれを明言しました。問題は、訴外Bに特別受益があり、これを考慮すると特定不動産に2分の1の持分権が認められない場合です。相続人Bが遺産分割申立をした場合、この不動産に2分の1の持分権が認められないのに、第三者に譲渡した場合、2分の1が認められると他の相続人の最終相続分を侵害することになります。現在、この点を判断した裁判例を探しているのですが、見つかりません。
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