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清算型遺贈による不動産処分での注意点-譲渡所得税

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平成19年 6月12日(火):初稿
○「清算型遺言に係る登記のまとめ」で遺言書で、遺言執行者が不動産を売却して、売却金から諸経費を差し引いた残額を、一定割合或いは一定額を相続人或いは第3者に遺贈するとの内容の遺言がある場合、遺言執行者の権限で不動産の相続人への相続登記と第3者への売却による所有権移転登記が出来ると説明しました。

○このような遺言は清算型遺贈と呼ばれていますが、ここで注意しなければならないことは、遺言執行者の権限による売却と言っても、形式上は、不動産所有権は相続人に移転し、遺言執行者は、相続人の代理人として売却するということです。

○従って相続人名義での売却ですから、売却代金も形式的には相続人に帰属することになることに注意が必要です。清算型遺言の場合はその精算として、売却代金から諸経費を差し引くことになり、諸経費としては相続債務が典型ですが、葬儀費用、遺言執行費用等も入ります。

○諸経費の中で最も重要なものは、譲渡所得税で、この譲渡所得税は課税対象人が形式的には相続人になるので、清算型遺言実行によって不動産の売却をした場合、その譲渡所得税等の課税関係を慎重に調査して、過不足なく売却代金から控除して遺言執行者自身が納税時期までシッカリ管理しておく必要があります。

○万一、この譲渡所得税等の公租公課分経費を差し引かずに遺贈者に交付してしまい、その後、税務署から名義上の売却人である相続人に課税処分がなされ、その相続人が遺贈対象になっていなかった場合などは、大変なことになります。

○その相続人は、自分の名前で遺言執行者が勝手に売却し、さらに売却代金は一銭も自分のフトコロに入らないのに譲渡所得税の課税だけが自分になされたとなれば、激高して遺言執行者に文句を言ってくることになり、更に受遺者が、公租公課分の返還に応じない場合などは、遺言執行者が自腹での譲渡所得税分の支払を余儀なくされることにもなりかねません。

○このような事態にならないためにも清算型遺贈を実行する遺言執行者は事前に管轄税務署とも相談して、売却代金の管理、譲渡所得税の支払等は遺言執行者が責任を持って行うので、相続人には課税のための確定申告書の送付はしないよう要請しておくことが必要でしょう。

○上記の通り、遺言執行者の権限による売却と言っても、形式上は、不動産所有権は相続人に移転し、遺言執行者は、相続人の代理人として売却するのですから、譲渡所得税の支払等は遺言執行者が責任を持って行うとは、あくまで譲渡税支払義務者の相続人の代理人として行うことは言うまでもありません。
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