平成26年 7月21日(月):初稿 |
○「弁護士業務広告ガイドライン平成24年3月15日改正版紹介-広告責任等」を続けます。 *************************************** 3 規程第10条―広告であることの表示 (1) 趣旨 規程第10条が郵便又はこれに準ずる方法により、面識のない者に対し直接配布する広告物について広告であることを表示させることとしたのは、面識のない広告対象者に対して広告物を郵送等する場合は、これによって無用な心配をかけ、又はその閲覧を心理的に強制するおそれがあるため、広告であることを表示させることにより、開封しなくとも、外見から広告物であることがわかるようにするためである。 (2) 広告であることの表示の方法 広告であることの表示は、「広告」、「事務所報在中」、「事務所案内在中」等一見して弁護士の広告であることが分かるようなものとし、封筒である場合にあってはその外側、封筒以外のものである場合にあってはその表側又は冒頭部分に行う等、分かりやすい箇所に行わなければならない。 (3) 暑中見舞い、年賀状等の時候の挨拶状について 暑中見舞い、年賀状等の時候の挨拶状は、面識のない者に対して配布する場合には、その内容、態様、方法等により顧客誘因が主たる目的とは認められない場合を除き、広告に該当するおそれが高いことに注意しなければならない。 4 規程第11条―広告の記録を保存する責任 (1) 趣旨 規程第11条が広告をした弁護士等に対し広告物又はその複製(電磁的記録によるものを含む。以下この項において同じ。)、写真等当該広告物に代わる記録及び広告をした日時、場所、送付先等の広告方法に関する記録並びに規程第4条第2号から第4号までに規定する同意を証する書面を当該広告が終了したときから3年間保存させることとしたのは、規程第12条第1項の規定により弁護士会から提出を求められたときに応じられるようにするためである。 (2) 広告物の保存の要領 広告物等の保存は、現物そのものを保存することを原則とし、次に掲げる要領に従って行うものとする。 ア事務所案内、事務所報、案内チラシ等当該弁護士等の広告のみを紙に印刷した広告物は、当該広告物と同一の物を保存するものとする。 イ電話帳広告、雑誌広告、新聞紙広告等当該弁護士等の広告以外のものも含まれている紙に印刷した広告物は、当該広告物が掲載され、若しくは掲示されている頁及び当該電話帳、雑誌、新聞紙等を特定できる表紙、奥書等の頁又はそれらの複製を保存するものとする。 ウ立て看板、のぼり旗、広告幕、広告板、広告塔等物理的に保存に適しない広告物については、現物の状況が判るよう写真等によりその状況を保存すれば足りるものとする。 (3) 広告方法の記録の要領 広告物を実際に使用したときは、次の各号に掲げる広告物の種別に応じ当該各号に定める要領に従ってその時期、場所、広告方法等について記録しなければならない。 ア送付に係る広告物郵便、電子メール、直接配布、業者依頼配布等の区別、送付先及び送付年月日について記録するものとする。 イ屋外広告物立て看板、広告板等の当該屋外広告物の種類、掲示等をした場所及びその周囲の状況、掲示等の期間、当該屋外広告物の大きさ等を記録するものとする。 (4) インターネットのホームページを利用した広告の保存又は記録インターネットのホームページを利用した広告の保存又は記録をするときは、データ又はプリントアウトした印刷物を保存するものとする。ただし、頻繁に書き換えられる細目にわたる事項の変更については、変更の前後を通じて同一の広告とみなすものとし、重要な広告事項の変更があったとき又は画面の一新、掲載内容の大幅な変更若しくは改訂等により広告物として同一性を認めることができない変更があったときは、変更の前後のデータをいずれも保存するものとする。 (5) 暑中見舞い、年賀状等の時候の挨拶状について 暑中見舞い、年賀状等の時候の挨拶状は、前項第3号の場合において広告と認められる場合等を除き、原則として広告物に該当しないので、保存することを要しない。 第9 規程第12条の違反行為の排除等 1 規程第12条の趣旨等 (1) 規程第12条が弁護士会について広告に関する調査権限、規程第3条第1号に該当する疑いがあるときに事実に合致していることの証明を求め、及びその証明ができなかったときに同号に該当するとみなす権限、違反行為の中止等の命令等に関する権限及び弁護士等がその命令等に従わない場合等の公表に関する権限並びに他の弁護士会に対する通知の権限を、弁護士等に対して弁護士会の調査に対する協力義務を、並びに日本弁護士連合会及び弁護士会の相互協力義務を規定したのは、違反広告に対し、所属の弁護士等に対する指導監督の権限及びその責任を有する弁護士会が有効に指導監督できる仕組みを設けることが必要であるからである。 (2) 規程第3条等に違反して広告をした場合、規程第12条第5項による違反行為の中止、排除等の命令に従わない場合等については、同条の規定による指導監督とは別に、会則等の違反、品位を失うべき非行等として懲戒の対象となり得ることに注意しなければならない。 2 規程第12条第1項及び第2項―弁護士会の調査権及び弁護士等の調査協力義務 (1) 弁護士会の調査権 弁護士会は、所属の弁護士等の広告が規程に違反する疑いがあると認めるときはもちろん、その前段階においても必要があると認めるときは、いつでも、当該弁護士等に対し、次に掲げる例による事実関係についての調査を行うことができる。 ア規程第11条に規定する広告に関する記録の提出を求めること。 イ広告の回数、広告に要した費用、その費用の捻出方法及び業務の具体的な処理方法(例えば、多重債務整理において利息制限法に引き直した利息計算がなされているか否か等)等の事実について当該弁護士等に対して照会し、又は事情聴取をすること。 (2) 弁護士等の調査協力義務 当該広告を行った弁護士等は、前号に規定する弁護士会による調査に対し協力しなければならない。 (3) 弁護士会による任意の調査 弁護士会は、第1号に規定する場合において、弁護士等以外の者に対して照会し、又は事情聴取を行う必要があると認めるときは、当該照会又は事情聴取を行うことができる。ただし、当該弁護士等以外の者の任意の協力の下に行われるものであることに十分留意して行わなければならない。 3 規程第12条第3項及び第4項―弁護士等の証明責任 (1) 広告の真実性の確保 弁護士等は、弁護士等の広告が国民に有益な情報を誠実に提供するものであることに鑑み、広告の真実性を確保しなければならない。 (2) 証明責任 広告が事実に合致しているかどうかの証明責任については、事実に合致しているかどうかは当該広告をした弁護士自身が最もよく知るところであり、かつ、証明に関する資料も当該弁護士が保有していることが通常であることに鑑み、当該広告をした弁護士等が負担するものとし、当該広告をした弁護士等は、弁護士会から求められたときは、事実に合致していることを証明しなければならない。 (3) 証明できないとき 弁護士会は、弁護士会から証明を求められた弁護士等が事実に合致していることを証明できないときは、規程第12条第4項の規定により当該広告が規程第3条第1号に該当するものとみなすことができる。ただし、その結果行い得るのは規程第12条第5項から第7項までに規定する措置等であって、それ以外の懲戒の手続等において直ちにみなし得るものではないことに留意しなければならない。 以上:3,132文字
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