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私の法曹養成制度-弁護士補制度について

平成25年 5月22日(水):初稿
○「私の法曹養成制度に関するパブリックコメントまとめ」を続けます。
ここで私の法曹養成制度の結論を13項目に分けて紹介していましたが、最も問題になるのは「弁護士補」制度の現実性であり、黒猫のつぶやきさんの「『弁護士補』構想は,あまりに非現実的である」では、「現役の弁護士であれば,これがあまりにも非現実的な制度であることは言わなくても分かる」と断定されています。
その理由は、「弁護士補」を雇う側の負担の大きいことさ-使い物にならなくても解雇できず、弁護士になるまで雇い続けなければならないこと、事務員代わりに使う事務所も少ないであろうこと、法律事務所によっては専門が異なり幅広い研修が出来ないこと等で要するに研修先事務所確保が困難であろうというで、これは私の予想通りでした。

○医師の場合、医師国家試験合格後、医師資格を得て、法律上は診療上の制限はないけれども、事実上は臨床医としての力はありませんので、プライマリ・ケアを中心とした幅広い診療能力の習得を目的として、2年間の臨床研修を義務化されています。この制度では研修医に適正給与の支給と研修中のアルバイト禁止などが定められており、研修先の病院確保も問題はないようです。

○私が考える弁護士補の場合、あくまで「補」であり、弁護士資格はなく、弁護士と同様に業務を遂行できません。しかし、弁護士の指導・監督の下に、お客さまと直接、接触して相談、打ち合わせが出来、法的手段の選択等検討も出来、人と人の生の接触が必要な実務体験が出来ます。また作成する書面に文責者としての名前も載り、業務に関する責任も生じます。この点、業務責任が生じなかった司法修習生とは異なります。

○黒猫氏が懸念する研修先法律事務所の確保は、現状では確かに問題で、日弁連の全面的協力が必要です。合格者人数と、弁護士補期間に応じた研修先法律事務所の確保が必要になります。単純計算で、仮に2000人合格で弁護士補期間が3年だとすると、常に6000事務所以上の研修先法律事務所を確保しておかなければなりません。3000人合格で5年とすると1万5000事務所になります。

○日本全国の法律事務所数は、日弁連公表「法律事務所の共同化及び弁護士法人の現状」によると平成24年3月31日現在で1万3653事務所です。この事務所数からすると、研修先事務所確保の点からは、2000人合格で弁護士補期間3年で最低6000事務所当たりが限界と思われます。これでも平均して2事務所の内1事務所は、弁護士補を一人置かなければならないからです。平成24年3月31日現在弁護士数465名も居る西村あさひ法律事務所のような大事所では、1事務所で100人位弁護士補を採用してくれれば、研修先事務所確保も楽になるでしょうが。ちなみに平成24年3月31日現在の仙台弁護士会弁護士数は376名で208事務所でした。仙台では半分の104事務所が弁護士補を置く必要があります。

○給与をどの程度支給するかにもよりますが、例えば破産の審尋とか、弁論期日の出廷権限が与えられるとすれば、勿論ある程度の法律知識もあることから、同じ1年生なら弁護資格のない事務員より使い勝手が遙かに良く、事務員代わりに使う事務所が出てくるのでは思っております。複数の事務員を雇うなら一人は弁護士補にするという時代が来るかも知れません。但し、雇用を強制することは出来ませんので、研修先確保も保障出来ず、弁護士補試験受験者は、合格後の研修先事務所確保も見据えて計画を立てなければなりません。ここでも競争が必要です。

○縷々述べてきましたが、黒猫氏の「『弁護士補』構想は,あまりに非現実的である」にはコメントが38件もあり、種々論争されていますが、最後のコメントが印象に残り、備忘録として肝に銘じます。
失笑 (一般“国民”)
2007-09-06 16:46:02
もっぱら裁判所の青田刈りのために存在してきた研修所教育を肯定したい(郷愁も含めて)人たちと、それを克服するために出来た新制度の下で学ぶロースクール生の人たちでは、議論がすれ違うばかりのようですね。
私は、5000人でも1万人でも合格させればよいと思います。そしてその上でどんどん競争させ、市場の淘汰にまかせればよいでしょう。
一部の方が“修習の質”とか言ってますが、その時点でナンセンスです。修習を経ただけでバッチリ実務につけるほど法律家の仕事って甘いものなのでしょうか?どんな仕事だって、仕事は仕事の中でしかおぼえられないと私は経験的に思います。
アメリカでは、バーイグザムに合格後、少なくとも10年間はアソシエイツとして奴隷のようにこき使われる中でみな成長していきます。
資格を得ただけで、600万だ1000万だという初任給をもらえる世界の方が異常でしょう。弁護士のみなさんも胸に手を当てて考えてみてください。自分が新人の頃どれだけ恥ずかしい間違いをしてきたかを。どれだけ色々な人に迷惑をかけてきながら一人前になってきたかを。
なんにせよ、一般“国民”の立場からすると、資格をとっただけで食えるような制度のままでは信頼は置けません。新制度の下で法律家になる人達も、既存の法律家の人たちも大いに競争してください。そして、みなさんが切磋琢磨する中で業界全体の底上げが図られることを切にのぞみます。



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