平成25年 5月18日(土):初稿 |
○「周旋の意義-昭和34年2月19日名古屋高裁金沢支部判決紹介」を続けます。 名古屋高裁は、周旋について「申込を受けて訴訟事件の当事者と訴訟代理人との間に介在し、両者間における委任関係成立のための便宜をはかり、其の成立を容易ならしめる行為を指称し、必ずしも委任関係成立の現場にあつて直接之に関与介入するの要はない」と定義しています。 ここでの「周旋」の要件は、 ①申込を受けて訴訟事件の当事者と訴訟代理人との間に介在 ②両者間における委任関係成立のための便宜をはかり、其の成立を容易ならしめる行為 の2つです。 ○この名古屋高裁事件の被告人は、事件委任者希望者と共に弁護士会に行って弁護士に委任希望者を直接紹介し、さらに弁護士の事務所を訪れて直接弁護士に事件委任希望者を紹介していますので、上記①、②いずれも満たしその行為は「周旋」に該当すると評価されました。 ○ネット上弁護士紹介サイトを通じての相談申込に関していえば ①相談申込を受けて相談者と弁護士の間に介在 ②両者間に相談依頼関係成立のための便宜をはかり、その成立を容易ならしめる行為 の2つがあって初めて「周旋」と評価されます。 ○周旋についての国語辞書解説では、 1 売買・交渉などで、当事者間に立って世話をすること。とりもち。なかだち。斡旋(あっせん)。「下宿を―する」 2 事をとり行うために動きまわること。面倒をみること。 等と解説されています。 ○インターネット上での弁護士紹介サイト主催者は、一般的には、紹介サイトを立ち上げ、その一定スペースに事務所名・住所・電話番号・メールアドレス・顔写真等登録弁護士情報を掲載しておくだけで、アクセスした閲覧者は、その弁護士情報から直接電話或いはメールによって直接登録弁護士に連絡を取り、相談等の申込をするだけのものが多いと思われます。この一般的弁護士紹介サイトの実態からは、弁護士紹介サイト主催者の行為は、単にネット上の広告掲示板の提供と掲示板へのデータ掲載に過ぎず、サイト主催者の行為は、弁護士法第72条の「周旋」に該当しないと考えています。 ○「相談申込を受けて相談者と弁護士の間に介在」との要件からは、「周旋」に該当するためには、紹介サイトを見て弁護士に相談を申し込む際にそのサイト主催者を経由して申し込み、サイト主催者が、弁護士の申込みあったことを連絡して、両者をとりつなぐシステムが必要と思われます。ですから、サイトを見たのが申込みのきっかけであったとしても、主催者に関係なく申し込む場合は、「周旋」には該当しないと考えています。 ○「弁護士紹介・検索サイトを探してみました」に私が見つけた弁護士紹介サイトを20数件掲載しています。中身をザッと見てみると、弁護士紹介部分に関しては殆どが「相談申込を受けて相談者と弁護士の間に介在」はしていないように見え、いずれも「周旋」には該当しないと思われます。 ○そのサイトを通じて弁護士から、有償或いは無償でネット上で法律相談を受けるシステムを構築している例は次の通りですが、これは法律相談に関する「周旋」に該当します。しかし無償「周旋」は違法ではありません。 弁護士ドットコム 弁護士ナビ 法律事務所検索サポート(メール・電話での無料相談受付実施) 顧問弁護士.BIZ 産創館法律相談 ジャストアンサー法律 以上:1,355文字
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