平成24年 9月10日(月):初稿 |
○平成24年9月9日午後9時からNHKスペシャル「シリーズ東日本大震災 追跡 復興予算 19兆円」を観ました。特に第3次補正予算9兆○千億円の使い道を徹底調査していましたが、観ていて唖然とするばかりでした。これらの復興予算約19兆円は、平成25年からの所得税増税等でまかなわれるとのことで、結局、この19兆円は一般国民の負担です。 ○第3次補正予算約9兆円について、各省庁から予算請求された500数十件の事業に使われたが、その事業は被災地だけではない全国に散らばり、何と被災地直接事業は、僅か30件との冒頭報告に驚嘆しました。その理由は、復興計画の文言に、復興予算による事業で、「日本全国の産業活性化を図る」との文言が入っていたことによるそうです。 ○番組説明では、 「復興は進んでいない。お金は一体どこに使われているのか。」今、被災地から切実な悲鳴があがっている。とありますが、その徹底検証された”巨額のマネー”の行方には呆れるばかりでした。 ○先ず被災地からは遠く離れた岐阜県内の某コンタクトレンズメーカーの工場増設費用に使われた例が紹介され、なぜ、この工場増設が被災地にためになるかと言うと、その会社は仙台に支店を持っており、工場増設によって売上が上がると仙台支店の社員増員も可能になり、被災地の雇用確保の一環になるとのことです。この論理だと、仙台支店等被災地に支店を有する企業への設備投資は全て復興予算配分の対象になります。 ○その一方で、町の中心部が壊滅的被害を受け、5年前に借金をして商店街に建てた飲食店と自宅を流され、仮設住宅暮らしのAさんが、商店街復活のための国のグループ補助金申請をするも、補助対象にならないと申請を却下され、いまだ商店が復活ならず、従前の収入の半分以下の収入にしかならないアルバイト暮らしをして預金を取り崩しながら明日の見えない生活をしている例が紹介されました。 ○更に復興予算での事業の例として、津波対策になるとの理由で国交省沖縄県国頭村国道防波堤工事、被災地の漁業復活の援助となるとの理由で農水省「反捕鯨団体対策費」、被災地の状況を理解して貰うとの理由で外務省の青少年交流事業、被災地のテロ防止のためとの理由で公安調査庁「治安確保のための基盤強化」費用、理由は忘れましたが文科省「国立競技場の補修費」等々各省庁が様々の理由をこじつけて復興予算分捕り合戦をしている状況が良く判りました。 ○わが郷里気仙沼では、津波で個人・公共医療施設の半分が失われ、診療所再建を諦め県外の勤務医となった高齢の医師、気仙沼にとどまり何と2億円も個人債務を背負って病院再建に漕ぎ着け、毎日120件以上の訪問診療もこなして奮闘している比較的若い医師の例等も紹介されました。2億円もの借金になったのは、医療設備再建には巨額の経費がかかるところ、復興補助金が少ないからです。 ○復興予算の多くは、各省庁の予算分捕り合戦で、実際、補助が必要な被災地への直接の配分が減らされ、結局、官僚の良いようにされている実態を実感し、政治主導は口先ばかりだった民主党政権実態も見えた気がしました。 以上:1,385文字
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