平成24年 3月17日(土):初稿 |
○ダイヤモンドオンライン2012年3月13日号記事に「弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年」との記事が掲載されていました。”ポスト過払いバブル”は何でもあり 顕在化する弁護士界の憂鬱な現実との副題の冒頭に、過払い金返還請求は、消費者金融業界を瀕死の状況にさせたが、弁護士界を潤おした。過払いバブルは弁護士界の常識や弁護士自身の倫理感をも変えさせた。そのバブルがはじけた今、弁護士界では次なるメシのタネを探す動きが活発になる一方で、若手弁護士が育たず、非弁提携がはびこるような混沌とした状況となっている。弁護士界をとりまく今をレポートする。とあります。 ○確かに過払いバブルは、私自身も含めてこれに飛びついた弁護士・司法書士業界を一時的に潤し、弁護士の職業倫理観を麻痺させた面が強くあります。過払い事件も含めた多重債務事件は、弁護士にとっては、正に宝の山と言うべき有り難い事件でした。私が弁護士になった30年以上前からサラ金債務整理事件は、弁護士の事件として存在しました。しかし30年近い前から10数年前までは、その占める割合は小さく、且つ、煩いサラ金従業員相手に時に声を張り上げなければならない嫌な事件の一種で多くの弁護士は余りやりたがりませんでした。 ○ところが、サラ金にとって不利な最高裁判決が相次いで出されるようになり、10数年前から特に過払金返還請求事件は、見直されるようになり、宣伝広告大手のMIRAIO、アディーレ、ITJの三大事務所が大々的に取り上げ、その実績が喧伝されると、多くの事務所が取り組むようになり、つい数年前までは東京の地下鉄に乗車すると、過払い、多重債務の弁護士広告が彼方此方で見られるようになり、ネット上も過払い専門事務所の宣伝が夥しく広がり、更に上記大手事務所はTV宣伝も派手に打ち出して過払金返還請求事件が次々に掘り起こされ、サラ金業界は追い詰められ武富士の倒産に象徴される冬の時代となりました。 ○武富士の倒産がサラ金過払金事件終末を迎える序曲となり、その後は、過払金返還請求事件は急速に減り始め、追い詰められたサラ金各社の過払金返還も渋くなり、弁護士が介入しても過払金回収率も急激に落ち込み、弁護士の報酬も急落し、特に過払金返還請求事件収入を主な柱としていた事務所は相当厳しい状況になっているものと思われます。 ○多重債務・過払金返還請求事件取組の大量組織化の急先鋒でもあった石丸幸人弁護士率いるアディーレ法律事務所は、数年前までは多重債務・過払金返還請求事件に特化した事務所を銘打っていましたが、1年以上前から、交通事故被害者専門弁護士事務所としてのHPも解説し、多重債務から交通事故事件へシフトしているようにも見えました。 ○ところが同弁護士、確かに凄いものだと思いますが、平成23年8月から飲食店「北陸富士回転寿司かいおう」と言う名称で開店鮨経営にまで乗り出しています。そのインタビュー記事が2012年3月14日付弁護士界の憂鬱第2回目として掲載されています。これによると過払い事件の消滅を見越して数年前から検討した結果の寿司店経営とのことで、海外展開まで考えているとのことで、流石、考えることが狭い普通の弁護士の了見とは異なります。 ○更に全国235ヵ所の支店と弁護士数500人を目指して、多重債務消滅後は、交通事故や離婚訴訟を手がけていくことを宣言しています。「交通事故や離婚の訴訟に、高い法律の専門性や豊富な経験がなければできないということはない。」と豪語しており、確かにそのような面もあるかも知れませんが、「高い法律の専門性や豊富な経験」がお客様により有利な結果をもたらすことは明らかです。資本力の乏しい当事務所は、「高い法律の専門性や豊富な経験」をより磨いてアディーレ法律事務所の攻勢をしのいでいかねばなりません(^^;)。 以上:1,602文字
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