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司法試験:新ルート 予備試験、116人合格雑感

平成23年11月16日(水):初稿
○平成23年11月10日、司法試験予備試験の合格発表がありました。最終合格率は1.8%という超難関でした。我々が受験した頃の司法試験自体の最終合格率とほぼ同じです。これだけの超難関で、司法試験受験資格を得ただけで、これから本番を受けなければならないのですから、気が遠くなる話しです。

○しかし法務省では、この予備試験の結果を、短答式試験、論文式試験、口述試験、いずれも詳しくその合格点を詳しく発表しています。短答式試験については、270点満点で平均点130.7点のところ、165点以上で合格となり、合格者の平均点は184.7点とされています。62%の正解率があれば合格出来たわけで、合否通知の際に、受験者の各科目毎の点数まで発表してくれるのであれば、たとえ不合格でも合格可能性について客観的分析できます。短答式試験受験者数は6477人、合格者1339人で合格率は、20%ですが、正解率62%で合格出来ます。試験の難易度と正解率を分析すれば、受験価値のある試験になるでしょう。「司法試験予備試験における試験成績の本人通知について」によると結果は本人に通知されます。

○「司法試験予備試験における出題範囲及び問題数等について」によると論文式試験科目は、法律基本科目が憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法の7科目各7問、一般教養科目が人文科学,社会科学,自然科学3科目から1問、法律実務基礎科目が民事訴訟実務,刑事訴訟実務及び法曹倫理の3科目のうちから民事、刑事2門の合計10科目で各科目50点とのことですので満点は500点のようです。

○論文式試験は、最終受験者(採点対象者)全平均195.82点のところ245点が合格点で、満点500点に対する割合は24.5%です。採点基準が不明ですが、1科目満点50点のところ、25点取れば合格します。更に論文式試験得点別人員調が公表され、最高点302点から最低点57点までの得点毎の人員累計、割合累計が一覧化されて、自分の得点では全受験者中どこに位置するのか一覧出来ます。

○「司法試験予備試験論文式試験における試験成績の本人通知について」によると本人に(1)科目別順位ランク、(2)総合得点及び順位が通知されます。この結果と論文式試験得点別人員調と合わせて自分の成績を客観的に知ることが出来ますので、受験勉強の参考になり、相当、精密に合格可能性が予測できそうです。受験後直ちに自分の答案を再現しておけば、それがどの程度の点数が付いたかによって採点基準が判るからです。

○これだけ試験内容、結果が透明化されているのであれば、司法試験受験者は、高い授業料を支払って法科大学院に入るよりは、この予備試験を目指した方が良さそうに感じました。合格基準を明確にして、この合格基準に達した受験者は、合格者人数制限をかけることなく、人数制限のために合格基準を調整することなく、全員合格させるなら、本当の資格試験と思います。

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司法試験予備試験における出題範囲及び問題数等について
平成22年3月29日司法試験委員会決定
第1 短答式試験
1 法律基本科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法科目をいう。以下同じ)
(1) 問題数
各科目いずれも10問ないし15問程度とする。
2 一般教養科目
(1) 出題範囲
人文科学,社会科学,自然科学及び英語とする。
(2) 問題数
40問程度を出題し,そのうち20問を受験者に選択させて解答させることとする。
第2 論文式試験
1 法律基本科目
(1) 問題数
各科目いずれも1問とする。
2 一般教養科目
(1) 出題範囲
人文科学,社会科学及び自然科学とする。
(2) 問題数
1問とする。
3 法律実務基礎科目
(1) 出題範囲
民事訴訟実務,刑事訴訟実務及び法曹倫理とする。
(2) 問題数
民事及び刑事につきそれぞれ1問とし,計2問とする。
第3 口述試験
出題範囲は,論文式試験の法律実務基礎科目と同様とする。

平成23年司法試験予備試験短答式試験の結果
平成23年6月16日
法務省大臣官房人事課
1 受験者数等
(1) 出願者8,971人
(2) 欠席者2,494人
(3) 受験者6,477人
(うち途中欠席67人)
(4) 受験率72.2%
(注)受験率とは,出願者に占める受験者の割合である。
(5) 採点対象者6,410人
2 短答式試験の合格者
(1) 合格点
各科目の合計得点165点以上(270点満点)
(2) 合格者数
1,339人
(3) 合格者の平均点
184.7点

平成23年司法試験予備試験論文式試験の結果
平成23年10月13日
法務省大臣官房人事課
1 受験者数1,301人(うち途中欠席8人)
2 採点対象者1,293人
3 合格点245点以上
4 合格者数123人
5 採点対象者の最高点等
(1) 最高点302.68点
(2) 最低点57.64点
(3) 平均点195.82点
6 参考資料平成23年司法試験予備試験論文式試験得点別人員調

平成23年司法試験予備試験口述試験の結果
平成23年11月10日
法務省大臣官房人事課
1 受験予定者数123人
2 受験者数122人
3 合格点119点以上
4 合格者数116人
5 合格者の年齢(本年12月末現在)
(1) 最低年齢20歳
(2) 最高年齢59歳
(3) 平均年齢31.57歳
※ 受験願書に基づく情報
6 合格者の性別構成
(1) 男性103人(88.79%)
(2) 女性13人(11.21%)
※ 受験願書に基づく情報

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司法試験:新ルート 予備試験、116人合格
 法務省は10日、法科大学院修了者以外でも合格すれば新司法試験の受験資格を得られる初の予備試験の最終合格者を発表した。合格者は116人(男性103人、女性13人)で、受験者に占める割合(合格率)は約1・8%だった。

 予備試験は、経済的な事情から法科大学院に通えない法曹希望者に門戸を開くことを想定して創設された新司法試験の「例外」ルートだが、受験資格の制限は特にない。旧司法試験の出願が昨年で終結し、今年初めて実施された。

 合格者の平均年齢は31・57歳。最年少は20歳、最年長は59歳だった。また、同省のアンケート調査によると、職業別では、大学生40人▽無職32人▽公務員13人▽会社員12人など。修了すれば、新司法試験の受験資格を得られる法科大学院生も8人いた。

 最終学歴別の調査では、本来、既に受験資格を得ているはずの法科大学院修了者も19人いたが、同省は「5年間で3回までという受験制限をクリアできなかった人か、実力試しかは不明」としている。

 今回の予備試験では出願者8971人のうち6477人が受験。短答式、論文式、口述式の各試験を経て最終合格者が決まった。合格者は来年5月に行われる新司法試験を受けられる。

 合格した東京大4年の川島享祐さん(23)は「法科大学院に行くお金がなくても法曹を目指せる制度なので、もっと多くの合格者が出てもよかったと思う」と話した。【伊藤一郎】

毎日新聞 2011年11月11日 東京朝刊
以上:2,960文字

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