平成21年10月 5日(月):初稿 |
○「過払い金返還ビジネス特需-特需は長く続かず」で「過払金返還ビジネスには司法書士も相当食い込んでおり、弁護士だけの市場ではなく、且つ、グレーゾーン廃止立法も決まったことから今後1,2年で過払金返還ビジネスも下火になるはず」と記載していました。予想通り、最近は、先ず経営状態が厳しくなったサラ金側の過払金返還実績が、大変厳しいものになっています。最近は、過払金金額に争いのない事案ですら、大手のTやPでさえも、返還時期が半年、1年先で更に10回分割なんて提案をしてくるようになっています。 ○さらに当事務所でもそうですが、過払い事案が明らかに減っています。この過払い事案減少傾向は全国的と思われます。平成21年8月頃でしたが、仙台の地元新聞に東京某法律事務所の過払金回収相談会のチラシが入っており、過払金事件漁りが、ここまできたかと驚いたことがありました。事件漁りと表現したのは、どうもこれらの弁護士は商売的に効率の良い過払金事件だけ受任して、やや効率の劣る破産事件、再生事件等は地元の弁護士に依頼を勧めて自らは受任しないとの方針と聞いたからです。 ○私から言わせれば破産事件、再生事件も弁護士業務全体から見たら、遣り方次第、特に事務員の使い方次第では大変効率的な収益を確保できる事件です。私の経験では、平均的に見ると長い時間と労力のかかる訴訟事件が、効率という意味では最も効率の悪い事件です。勿論、訴額が大きくて大きな報酬が貰える事件は効率が悪いとは言えませんが、当事務所の場合、訴額が大きな報酬が大きく期待できる事件は余りありません(^^;)。その点、破産事件等の多重債務事件は、一つ一つ事件で大きな報酬にはなりませんが、弁護士の手は余り煩わせず事務員の手で確実にこなして報酬も頂けると言う意味で効率的事件です。 ○多重債務の中でひときわ効率の良い過払金回収事件しか扱わないと言うのは、まだまだ余裕があるとの評価も成り立ちます。しかし、端的に言えば楽してお金を稼ぎたいという、人間として最も素直な欲求をもろに表明しているもので、正直と言えば正直ですが、さもしい感じもして、私自身はこうはなりたくないと思っております。 ○新聞折り込みチラシに限らずテレビやラジオでも、主に東京都内の複数の事務所による過払金事件相談の宣伝広告が派手になされているとのことですが、これもやはり過払金事件がそろそろ頭打ちと感じてきているが故の最後の争奪戦を演じているものと思われます。「過払い返還請求トラブル急増…日弁連が異例の指針」なんてニュースを見ると、益々過払金返還ビジネスの終焉も近いと実感します。 以上:1,084文字
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