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第16回業革シンポ海外視察旅行感想-独弁護士事情等

平成21年 6月 8日(月):初稿
○平成21年6月7日、午後1時45分頃、日航機で無事、成田空港へ到着しました。
ドイツ・フランスの法律事務所見学などこのような機会でないと出来ませんので、あくまで個人的興味で参加しましたが、大変、勉強になり、また刺激を受けました。ドイツ・フランスの弁護士自身から直接話しを伺うことで、また、彼らの旺盛なサービス精神を目の当たりにして、日本の弁護士の職業は、これまで、世界一恵まれた環境にあったと実感しました。司法改革による合格者激増により日本の弁護士も厳しい環境に入りますが、世界標準からすれば当たり前のことと再確認できました。

○と言うのは、おそらく競争の激しさから自然に身に付いたものと思われますが、そのサービス精神の強さには、日本の弁護士には余り感じられないものだったからです。最初に回ったドイツの事務所は「第16回業革シンポ海外視察旅行3日目-IT事務所」に記載したとおり、1件目の韓国系ドイツ人の方が経営されている事務所で、ITによる顧客サービスをこれでもか、これでもかという感じで強化を続けていることを実感しました。ここの所長さんの顧客ニーズを徹底して調査し、そのニーズに応えるシステムを作成し実務応用する姿勢に感激・感嘆し、強い刺激を受けました。

○2件目は9つの事務所連合体の1つで、全世界にネットワークがあり、ドイツ国内に約600名、全世界で約2200名の弁護士を抱える大手事務所でした。この事務所で驚いたのは、提供された飲食物でした。お昼時間帯に訪問したこともあり、多種のジュース類、紅茶、コーヒーとクッキー類のお菓子だけでなく、野菜も入ったグラタン類、肉饅頭様のもの等昼食も兼ねられる飲食物が豊富に提供され、私自身は、昼食代わりにすることが出来ました。オフィス見学もしましたが、所員食堂があり、専任調理師さんが食事を作っており、ここで我々に提供した料理が作られたと納得しました。80年代までは知財に特化した小さな事務所で顧客も小さな会社が多かったが、80年代から90年代にかけて顧客会社の成長に併せて事務所の拡大化を決断し、顧客と共に成長してきたとの言葉が印象に残りました。

○3件目はケルン大学のマーティン・ヘンスラー教授の研究室でその講義を受けましたが、ここではドイツの弁護士についての各種統計を教えて頂きました。以下、概要です。
・司法試験合格者は毎年1万人程度。このまま増え続けたのでは大変なことになると問題意識はあるが、合格者に定員制を設けることは違憲と考えられている。

・司法試験合格者の内80%が弁護士、4~5%が判・検事、その他は会社員は公務員になる。
80%を占める弁護士の内訳は、33%は大規模事務所アソシエイト、17%が即独立弁護士、11%が一般企業勤務弁護士、14%が共同事務所設立(経費共同)、3%が小規模事務所パートナー、2%が団体勤務弁護士、11%がフリーランス(※ここの区分けと数字は、正確性に欠けるので後日、再記載予定)

・弁護士初任給は、小規模事務所2万ユーロから大規模事務所12万ユーロまで大きな格差があり、普通の会社員の給料の格差より大きく、普通の会社員よりズッと少ない給料で就職する弁護士も居る

・2回(卒業)試験合格者の57%しか弁護士を第1希望にしていない。自分の学生に8割が弁護士になると言うとゲンナリとした表情をされるほど弁護士は魅力的職業ではなくなっている。ミュンヘン弁護士会調査では、司法試験合格者の30%が例えばタクシー運転手等弁護士以外の仕事をしており、上位40位までの弁護士数は7000名で全体の5%程度(※ここの記述、数字も正確でなく後日再記載します)。

ヘンスラー教授のお話を伺ってドイツ弁護士の厳しい実態を痛感しました。

○4件目はケルンからバスで2時間ほどかけてディッセルドフルに移り、午後5時30分頃に至り、パートナー7名、アソシエイト4名の中規模事務所を訪問。事件はアソシエイトに丸投げすることなく、パートナーが直接手をかけて処理するのが、依頼者に評判がよいとのことでした。この頃になると流石に疲れが出て、話しが頭に入りづらくなっています(^^;)。

○ケルンでの2日目の訪問事務所で一番印象に残ったのは、2件目のパートナー1人で6名のアソシエイトを雇用している45歳の不動産法専門弁護士でした。その目は力強く自信に溢れ、特に成長戦略はなくても自然に仕事が増えてきて、豪華な建物を事務所にしていました。成長戦略はないと言いながら、大手事務所が嫌がる細かい仕事も厭わず引き受け、信用を得て、何より一度来た依頼者は絶対に逃がさず、相手方依頼者も次に自分に依頼してくるようになり、また一度入ったスタッフも退職させずに長期に勤務して貰っているとの言葉が印象的でした。如何にもやり手弁護士と言う感じで、前日のヘンスラー教授から伺った厳しい弁護士事情の中でも創意・工夫・努力で稼ぐ弁護士は稼ぐと実感しました。

以下、フランス弁護士についての感想は別コンテンツに記載します。

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