平成20年12月 7日(日):初稿 |
○「弁護士の平均年収が平成18年以降大激減か?」に記載したとおり、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると弁護士の収入(所得)は 平成17年2097万円 平成18年772万円 平成19年852万円 と平成18年に大激減しており、更に弁護士人口の急増、司法書士等隣接業種の職域浸食等で弁護士収入は落ちる一方となるのではと思っておりましたが、2008年版弁護士白書195頁弁護士の年収と所得の2004年・2006年・2008年の最近の1年置き経年比較によると次の通りさほど弁護士の売上・所得は落ちていませんでした。 ○中央値 (全体数が1000の場合、500番目の数値、単位は万円) 調査年 2004年 2006年 2008年 売上 2006 2400 2200 所得 1203 1200 1100 ○平均値 (各階級の中央値に人数を乗じ、その累計を総人数で除して算出した数字、単位は万円) 調査年 2004年 2006年 2008年 売上 3624 3453 3397 所得 1654 1632 1598 ○平均値とは、単に全データの総計を全人数で除するのかと思いましたが、「集計方法と指標の定義: さまざまな平均値/中央値/最頻値――調査・リサーチ・統計の基礎その5」を観ると色々やり方があるようです。日弁連収入調査の平均値は、金額が、1000万円未満、1000万円~2000万円等の各階級毎の割合を表示しており、この各階級の中央値に人数を乗じ、その累計を総人数で除するとの面倒な方法で行っています。まだ稼ぎの少ない若手からおそらく最も稼ぐ50代、稼ぎの少なくなる70代以降含めた全世代の平均は、中央値より平均値の方が実態に合うように感じます。 ○いずれにしても2004年から2008年までの経年比較をすると、その間大凡ですが、弁護士数は2万人程度から2万3000人に15%程度増加し、更に司法書士の債務整理・過払金返還要求事件進出等隣接業種のこれまでの弁護士領域への浸食が相当あるはずなのに、弁護士の収入はさほど下がっていません。2008年で平均約1600万円の収入は他の業界から観たらまだまだ高いと思われるでしょう。 以上:902文字
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