平成19年 2月 9日(金):初稿 |
○全裁判所トータルでは平成15年をピークに新受事件数が減りつつあり、日弁連調査での弁護士白書でも、平成15年に比較して平成17年は取扱事件数、売上げ共に減少しつつあることを報告しましたが、平成19年2月8日付で後記の「弁護士志望5人に1人就職できず」との毎日新聞ニュースが飛び込んできました。 ○これまで弁護士資格に価値があったのは毎年500人程度しか合格しない希少価値だったからであり、それが6倍もの3000人に増えた場合、価値が減少するのが当然で、新人弁護士はこれまでの売り手市場から買い手市場に完全に変わっています。 ○法曹人口大増員の真の目的は、たった1回の試験に合格したことで後は一生食べるに困らないとのこれまでの弁護士制度の見直しです。端的に言えば弁護士資格を得ただけでは食べられない制度への変換です。 ○大増員の結果、弁護士志望者5人に1人は就職できなくなるなんてことは、当然予想できたことです。今後の弁護士志望者は、司法試験合格はあくまで弁護士になるためのライセンスを取得したに過ぎず、このライセンスをどのように生かすかは、合格後の精進が重要であることをシッカリと自覚すべきです。 [弁護士志望]5人に1人就職出来ず? 日弁連が採用増要請 司法試験に合格して07年中に弁護士事務所への就職を目指す2200人前後の司法修習生のうち、最悪の場合400~500人が就職先を確保出来ない恐れがあることが、日本弁護士連合会の調査などで分かった。司法制度改革の一環で合格者が急増する一方、求人数が伸びていないためだ。日弁連は先月「このままでは有為な人材を失い、弁護士全体の活力低下が大いに懸念される」として、全会員に採用増大を呼び掛ける緊急要請文を送った。企業や官公庁への働きかけ強化にも乗り出す。 司法試験合格者は99年に初めて1000人を突破。実務を学んで法曹資格を得る司法修習終了者の数も年々増加しているが、需給バランスはほぼ保たれてきた。約1500人が修習を終えた昨年も、求人数が弁護士志望者数を上回っていたという。従来の司法試験と新司法試験の合格者の両方が修習を終える07年は、終了者数が06年比で約1000人増の2400~2500人に上り、その約9割が弁護士事務所への就職を希望すると見られている。 だが、昨年行われた日弁連の初の調査で、07年の全国の弁護士事務所の求人数が、志望者数を下回る可能性があることが判明した。東京、大阪を除く地方弁護士会の就職説明会では、修習生400人以上の参加に対し、求人数は300人に届かなかった。企業や中央省庁、自治体も新人弁護士の採用には消極的で、現状のままでは400~500人が就職出来ない懸念が出てきた。このため日弁連は、先月18日付で平山正剛会長名の緊急要請文を全会員に送付。「事態は急を告げている」と採用を呼び掛けた。 日弁連の飯田隆副会長は「後進の育成は弁護士全体の責務だという意識改革が重要」と強調。修習終了者は11年には年間3000人に達する見通しで「今後は企業や官公庁にも弁護士を採用するメリットを理解してもらえるよう働きかけていきたい」と話している。【木戸哲】 以上:1,308文字
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