平成17年 2月 5日(土):初稿 平成17年 5月15日(日):更新 |
○昨日に引き続き弁護士業での事件紹介対価支払禁止の原則について記述します。 弁護士業界以外では仕事を紹介することによって紹介した仕事の金額の一定割合を紹介手数料として取得することは何の問題もありません。 例えば建設業などで5000万円の仕事を紹介して3%相当額の150万円が紹介手数料として紹介された側から貰うなど当たり前に行われています。 ○弁護士法72条に以下の規定があります。 (非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止) 第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。 ○この規定は弁護士の法律事務独占と言う弁護士にとって最大の特権を与えられた規定でした。簡単に言えば、弁護士以外のものはお金を取って法律相談を始めとする法律事務を行うことは一切出来ず、又紹介手数料を取って弁護士に法律事務に関する仕事を紹介することも一切禁止されています。 ○法律事務独占の例外は別の法律で定めがある場合で、例えば司法書士法で登記業務に関する法律事務は司法書士に認められていました。しかし法律相談は司法書士には認められず、司法書士会で「法律相談」と銘打った相談会を開催するときに弁護士会から72条違反とクレームを付けると言う騒ぎが良くありました。 ○この72条は弁護士の最大の特権でしたが、司法書士を始めとする隣接士業にとっては、業務遂行上最大の制約でした。何しろ、お金を取っての法律相談と銘打った相談が出来ず、又紛争の相手方と交渉が必要になっても交渉は弁護士以外一切出来なかったからです。 ○そのため司法書士等隣接士業からは、相当以前から72条の見直し、法律事務について弁護士以外にも解放すべきであるとの要求が出され、弁護士会がそれに猛反対すると言う構図が続いてきました。 それがこの規制緩和の波で72条の弁護士による法律事務独占についてはなし崩し的に解放即ち弁護士特権剥奪が続いています(この話題、明日も続けます)。 以上:936文字
|