平成18年 4月22日(土):初稿 |
○私がに独立開業した昭和57年頃は第2次サラ金戦争と呼ばれた時代で、サラ金事件が次々に入りました。毎回、口頭で説明する同じ内容を書面化し、この書面を見て頂きながら説明した方がお客様には便利だろうと思って昭和59年に至り消費者債務整理相談パンフレットを作成しました。 ○以下は昭和59当時の個人自己破産手続についての説明パンフレットです。 その後、平成17年に破産法が大改正されたため内容の一部は現行破産手続と一部異なりますが、基本的なところは同じですので、私の人生データベースの一環としてご紹介します。何れ新破産法での説明パンフレットも作成したいと思っております。 ************************************** 自己破産について (注旧破産法での説明です) 1自己破産の意義 自己破産とは、債権者自ら破産の申立をすることであり、 破産とは、債務者が経済的に破綻し、その資力をもって全ての債権者に対する債務を完全に弁済することができなくなった場合に、原則として債務者の生活に欠くことのできないものを除く全財産を換価して、全ての債権者に対し、債権額に応じて公平に弁済することを目的とする裁判上の手続を言います。 2自己破産手続きの概略 破産申立通知 ↓ 破産申立 ↓ 破産原因審査 ↓ 破産宣告決定 ↓ 同時廃止 (破産管財事件の場合) 破産申立通知 ↓ 破産申立 ↓ 破産原因審査 ↓ 破産管財人就任 ↓ 債権者集会債権調査、異時廃止 ↓ 破産財団換価 ↓ 配当 ↓ 計算報告、債権者集会 ↓ 破産終結決定 (注1)債権者への破産申立通知により貸金業者は債務者に対し直接の請求はできなくなります。 (注2)財産がない場合は、破産宣告決定と同時に破産廃止の決定がなされ破産手続きは終結します。この場合破産菅財人はつきません(同時廃止)。 3破産による不利益 (1)破産についての誤解 破産について世間ではかなり誤解されています。①戸籍に傷が付く、②選挙権が無くなる、③会社は首になるの類です。 しかし、実際には破産になっても一般に考えられている程の不利益はありません。 (2)破産による主な不利益 ①財産の管理処分権の喪失。但し破産宣告以前に取得した財産に限られ、生活必需品も除かれます。 ②自由の制限~(イ)説明義務、(ロ)居住制限、(ハ)引致・監守、(ニ)通信の秘密の制限 ③公私の資格制限 (イ) 公法上-弁護士、公認会計士、税理士等の資格喪失 (註)選挙権、運転免許証、建築士の資格等は無くなりません。 (ロ) 私法上-後見人、遺言執行者、取締役等の資格喪失 但し、①、②は同時廃止の事案では関係なく、③も後に説明する免責決定をうけるなどして復権すれば制限が無くなります。 (3)破産の公示方法 官報に公告、各市町村の身分証明書台帳に記載 (注)戸籍、住民票には記載されず、親兄弟、子供など家族には法律上全く影響ありません。 (4)その他 ①会社は破産宣告を受けたことのみを理由として、懲戒解雇することは出来ません。 ②破産宣告後、新たに取得した財産は裁判所に提出することなく自由に処分出来ます。結局、破産宣告は事業者にとっては、これまでの事業の死を意味しますが、給料取得者にとっては、実質的な不利益はさほどありません。 4破産の効果 (1)弁護士による破産申立通知の効果 本人への直接請求の禁止(貸金業規制法21条、大蔵省通達) 但し、債権者は裁判手続きによる請求は出来ます。又、保証人がいる場合、保証人への請求は厳しくなります。 (2)破産宣告決定の効果 破産宣告決定が出されると、事実上殆どのサラ金業者は、破産者への債権を損金扱いとして、破産者への取り立てを諦めます。 従って、事実上、債務はなくなったと同じ状態になります。 但し、法律上は債務は残りますので、判決・支払命令・公正証書等がある場合、強制執行は免れえません。 法律上も債務を無くすためには、次の述べる免責の決定を受けなければなりません。 5免責について (1)免責とは 破産手続上の配当によって弁済されなかった破産者の債務につき、裁判によってその責任を免除することをいいます。 (2)免責不許可事由 破産宣告決定後、免責の申立をすると裁判所では、免責不許可事由の有無を調査し、不許可事由が無い限り、免責決定をだします。主な免責不許可事由は次の通りです。 ①裁判所に対し、財産を隠したり借金を水増ししたり、虚偽の申告をしたとき ②浪費や賭博などで借金をつくったとき ③破産状態で特定の債権者に不公平な支払をしたとき ④破産状態で返済不能なのにこれを隠し、借金がないように装い新たな借金をしたとき(詐欺的借入) (注)最近、裁判所は同時廃止の事案でも、管財人を選任し資産・債務及び免責不許可事由を調査しないと免責決定を出さない傾向にあります。(この場合管財人費用として20~30万円の予納金が必要となります) (3)免責の効果 ①債務の責任を免れます。 ②当然に復権します。復権とは破産者でなくなることです。 尚、免責決定を受けなくても、破産宣告後10年を経過した場合は、詐欺破産罪になった場合を除いて復権します。 以上:2,080文字
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