平成17年 9月23日(金):初稿 |
○H17年9月17日更新情報で、「破産手続の場合、破産宣告申立弁護士費用に加えて裁判所に対する予納金が必要になり、依頼者は任意整理に比較してダブルの費用が必要になります。例えば負債総額5億円程度の法人破産の場合、裁判所提出予納金額は200万円で、申立弁護士費用を200万円とすると400万円を一時に準備しなければなりません。」と記載しました。 ○この予納金は裁判所における手続費用で大部分は破産管財人に就任する弁護士の報酬となるもので、東京地方裁判所での法人破産事件における予納金は負債総額に応じて概ね次の通りとなっており、殆どの裁判所がこの基準に従っています。 負債総額 予納金額 5000万未満 70万円 5000万~ 1億未満 100万円 1億~ 5億未満 200万円 5億~ 10億未満 300万円 10億~ 50億未満 400万円 50億~ 100億未満 500万円 100億~ 250億未満 700万円 250億~ 500億未満 800万円 500億~1000億未満 1000万円 1000億以上 1000万円以上 ○私が受任する事業倒産事件の多くは数億円程度で、例えば負債総額3億円の場合、破産事件として受任する場合は、破産申立弁護士費用として210万円、裁判所に支払う予納金が200万円の410万円もかかることになります。 ○負債総額3億円程度の事業倒産の場合、資金繰りに窮して弁護士に相談する段階では、殆どの場合400万円もの費用を自力で捻出できない状態になっています。そのため社長やその妻の親兄弟等から借りて準備する例が多くあります。 ○事業倒産整理事件は、倒産企業の清算手続を行うもので、具体的には倒産会社の在庫品や不動産を売却し、売掛金を回収して、資産を換価してお金を集め、債権者からは債権の届出を受け、その内容を吟味し、合意した債権額を基準に、集めたお金を平等に配当する一連の手続を行うことです。 ○この事業倒産整理事件を破産手続で行うには、先ず裁判所に破産申立をして、裁判所が破産管財人となる弁護士を選び、破産管財人となった弁護士が、資産換価、配当等の手続を行います。事業倒産整理を破産申立と裁判所の破産手続の2つに分けて2人の弁護士を使って行いますので、弁護士2人分の費用がかかることになります。 ○私は、数十億、数百億もの大型倒産なら兎も角、数億円程度の規模の倒産事件処理は一人の弁護士で十分であり、この手続を2分する破産での倒産整理は実に無駄なことと思っており、若い弁護士には、倒産事件がきたら破産手続なんて無駄なことはしないで任意整理で自分一人で最初から最後までやった方がずっと勉強になると、任意整理を薦めているのですが、殆どの弁護士は破産手続を選択し、私の薦めに乗りません。(この話題後日に続けます。) 以上:1,196文字
|