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兼業主婦休業損害につき全女性平均賃金超過基礎収入を認めた地裁判決紹介2

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令和 5年11月29日(水):初稿
○「兼業主婦休業損害につき全女性平均賃金超過基礎収入を認めた地裁判決紹介」の続きで、その説明を続けます。
家事に従事しながら、給与所得或いは事業所得のある兼業主婦の休業損害の算定基準となる基礎収入は、全女性平均賃金と給与・事業等による実収入額のいずれか高い方を基準とし、平均賃金に実収入額を加算しないとの一般論があり、これが原則とされています。この原則は、主婦業は24時間労働であり、この24時間労働の対価を全女性平均賃金としているのだから、その一部を割いて現実収入があったとしても、全女性平均賃金の中に含まれ、それを超える現実収入がある場合のみ越えた部分が基礎収入に加算されるだけと説明されています(青本28訂版74・75頁)。

○しかし、この考え方は主婦労働の内容や質の相違を無視するもので、平均賃金に現実の収入を加算すべきであるとの考え方もあり、平成18年12月15日名古屋地裁判決(交通事故民事裁判例集39巻6号1763頁)の原告は、この加算すべきとの考え方で
原告は、夫と子供2人の4人世帯の主婦として家事労働に従事するとともに、夫の経営する音楽教室でピアノ講師として就労し、月10万円の給与を得ていたので、基礎収入は、家事労働分としての386万1000円(平成13年賃金センサス女子労働者45歳ないし49歳の平均賃金)と、ピアノ講師分としての年額120万円を合計した、506万1000円となる
と主張しました。私も原則としてこの考え方を採用して請求しています。

○名古屋地裁判決の考え方は、主婦業を一週間単位で考え、7日間のうち1.5日分をピアノ教室に割いて全女性平均賃金386万1000円について、一週間7日から1.5日を差し引いた5.5日を7日で割った0.7857を乗じた303万3642円を主婦としての基礎収入とし、これにピアノ教室実収入120万円を加えた423万3642円を原告の全体基礎収入と認定しました。平均賃金に単純に加算する考え方と、実収入が平均賃金以下の場合は全く加算しない考え方の中間を採用した合理的考え方です。

○主婦業が24時間労働とする考え方では、時間単位で考えて、月10万円の収入を上げる時間が1日あたり2時間とすれば、24時間から2時間を差し引いた22時間が主婦としての労働時間と考えて、22時間÷24時間=0.9166を平均賃金386万1000円に乗じた353万9249円を主婦としての基礎収入とするとの考え方もできます。要は、実収入を上げるためにどれだけ主婦としての労働部分を割いているかを全く検討せず、一律に実収入部分が女性平均賃金より低い場合は全て女性平均賃金の中に含まれるとする考え方が不合理と言うことです。

○残念ながら裁判例の多くは、実収入が女性平均賃金以下の場合は、実収入は休業損害算定基礎収入にはしないとの考え方が主流で、名古屋地裁判決の考え方を採用する裁判例は少ないのが現実ですが、私は名古屋地裁の考え方を、訴えていきます。
以上:1,231文字

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