旧TOP : ホーム > 交通事故 > 交通事故判例-その他なんでも > |
令和 4年 9月25日(日):初稿 |
○入院日数73日=2.4ヶ月、通院期間100日=3.3ヶ月の傷害(入通院)慰謝料は、赤本基準だと175万円程度になります。この入通院期間の慰謝料として、原告の傷害が比較的重篤であったこと、原告が主張する被告加入の任意保険会社の対応により原告が経済的不安に直面する状況に陥ったこと等の事情を総合考慮すると、傷害慰謝料は250万円が相当とした令和3年11月16日京都地裁判決(自保ジャーナル2112号51頁)関連部分を紹介します。 ○原告は、慰謝料増額の理由として、任意保険会社を含む被告側の対応は,交通事故の被害者である原告を生命の危機に瀕する状況に陥れ,生存権を著しく害するものであって,原告に著しく多大な精神的苦痛を与えたと主張し、判決もこの点を考慮しました。 ********************************************** 主 文 1 被告は,原告に対し,1,174万1,815円及びこれに対する令和2年1月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その3を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 4 この判決は,主文1項に限り,仮に執行することができる。ただし,被告が担保として1,000万円を供したときは,上記仮執行を免れることができる。 事実及び理由 第一 請求 被告は,原告に対し,3,968万7,488円及びこれに対する令和2年1月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第二 事案の概要 本件は,原告が,後記交通事故(以下「本件事故」という。)により受傷し,損害を被ったと主張して,加害車両を運転していた被告に対し,民法709条による損害賠償請求権に基づき,3,968万7,488円及びこれに対する不法行為の日(本件事故日)である令和2年1月13日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 第三 前提事実(争いがないか,弁論の全趣旨により認められる。) 1 本件事故の発生 (中略) (原告の主張) (中略) (6)傷害慰謝料 458万9,000円 ア 原告の入通院治療の実情(入院日数73日,通院期間100日,通院実日数54日。前提事実3)を踏まえると,傷害慰謝料は258万9,000円が相当である。 イ 加えて,本件では以下の事情があるから,傷害慰謝料を200万円増額すべきである。 原告は,本件事故による傷害で就労困難となって収入が途絶える一方で,自宅の住宅ローン及び管理費の支払が必要であったところ,被告加入の自転車保険の保険会社であるg保険会社は,当初,過失割合が決まらないと治療費や休業損害分の保険金は支払えないと主張し,その後,過失割合を暫定的に50対50として,治療費及び休業損害の半額を支払う旨の合意をしただけで,それ以上の支払をしようとしなかったことから,原告は,令和2年3月頃には預金も底をついてしまい,金員仮払仮処分の申立てを余儀なくされた。このように任意保険会社を含む被告側の対応は,交通事故の被害者である原告を生命の危機に瀕する状況に陥れ,生存権を著しく害するものであって,原告に著しく多大な精神的苦痛を与えたことを考慮すると,傷害慰謝料を200万円増額すべきである。 (中略) (被告の主張) (中略) (3)同(6)(傷害慰謝料)について 被告加入の任意保険会社では,原告の過失が大きい本件では過払を避けるべく治療費の一括払は行っていないが,他方で,暫定的に治療費及び休業損害の支払を行っているし,金員仮払仮処分申立事件では,過度に争うことなく,速やかに和解金110万円の内払をしており,原告を生命の危機に瀕する状態に陥れたとの原告の主張は全く当たらない。 (中略) 第六 当裁判所の判断 1 争点1(事故態様及び過失割合)について (中略) (6)傷害慰謝料 250万円 本件事故による入院期間が73日,通院期間が100日であること(前提事実3),原告の傷害が比較的重篤であったこと,原告が主張する被告加入の任意保険会社の対応により原告が経済的不安に直面する状況に陥ったこと等の事情を総合考慮すると,傷害慰謝料は250万円が相当である。 以上:1,770文字
|