令和 4年 4月24日(日):初稿 |
○「第1回日本脳脊髄液漏出症学会学術集会参加-はじめに」の続きです。姫路市文化コンベンションセンターアクリエひめじで開催された第1回日本脳脊髄液漏出症学会学術集会は、医師及び医学研究者による23の演題での講演と3件の特別講演を含む、大変充実したものでした。参加資格は、日本脳脊髄液漏出症学会の会員ですが、弁護士の私も、直前に特別に会員にして頂いての参加でした。 ○医師及び医学研究者による学術集会なので、講演内容は専門領域について専門用語が飛び交い、医学素人の私には、理解出来ないものが大半でした。しかし、脳脊髄液漏出症は、画像検査等によって明白に診断できるものではなく、取り組む医師は、様々な創意工夫をして、患者の苦しみを解放すべく必死の努力をしていることは伝わってきました。 ○講演の中で、演題21番;東北大学大学院歯学研究科北條祥子氏の脳脊髄液漏出症患者の環境過敏反応に関する調査は、脳脊髄液漏出症自体の治療方法等の発表ではなく、脳脊髄液漏出の症状の一つとして、化学物質過敏反応のトリガー(引き金-ある現象の牽引役となるもの)になるという調査データの発表でした。私が、現在扱っている脳脊髄液減少症患者も、化学物質の典型である薬物の副作用-過剰反応による重篤な症状に苦しんでいることが、交通事故との因果関係判断をさらに難しくしているものです。 ○北條祥子氏は、仙台の尚絅学院大学名誉教授で環境医学の専門家で「北條祥子さんら早大グループ 電磁波過敏症の診療と研究に役立つ問診票を作成」という記事によると「長年、厚生労働省の研究班の一員として、米国のミラー(Miller)らが開発し、多くの国で化学物質過敏症(MCS)用問診票として使用されているQEESI問診票(クイージー問診票、以下QEESIと省略)の日本語訳版を作成し、それを用いた多くの疫学研究結果を査読のある国内外の学術誌に掲載してこられた疫学が専門の研究者」とのことです。 ○北條氏は、オンライン参加でしたが、脳脊髄液漏出症患者の中には、種々の環境要因(音、光、化学物質、電磁波など)に対する過敏反応を示す患者が多いがその詳細は不明なために、その調査を行った結果を詳細なデータとして提供され、脳脊髄液漏出症患者の化学物質過敏反応の特徴について、以下のようにまとめています。 ①発症割合・重症度ともに女性が有意に高かった ②経過年数が長くなる程、化学物質過敏度が高くなる傾向があった ③症状悪化に伴い化学物質過敏反応も悪化・症状回復に伴い過敏反応も和らぐ傾向があった ④電磁波過敏反応を併発している患者が多かった ⑤発症前から化学物質過敏反応を有した患者は、脳脊髄液漏出症発症で過敏反応が悪化する傾向があった ⑥化学物質過敏反応スコアが高い程、他の各症状スコアも連動して高くなった ⑦本症患者は種々の化学物質に過敏反応を示した ⑧本症の発症トリガー因子(交通事故・その他の事故)のイベントから経時的に追うと、重傷な化学物質過敏反応の頻度が増加することが確認 以上:1,241文字
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