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男子外貌醜状9級に35%労働能力喪失を認めた地裁判決紹介

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令和 2年 2月26日(水):初稿
○一般に男子の外貌醜状については労働能力喪失は認められませんが、後遺障害等級第9級「外貌に相当程度の醜状を残すもの」と認定された男子運送会社運転手に35%の労働能力喪失を認めた平成27年4月16日さいたま地裁判決(自保ジャーナル・第1950号)関連部分を紹介します。

○9級16号外貌醜状を残し、事故後、顧客との折衝時に消極的になったとする、39歳男子運送会社運転手の原告の後遺障害逸失利益算定につき、原告の外貌醜状は、「口唇部に残存している5㌢㍍以上の線状痕であり、人目に付く程度のものであること、原告の現在の職業が自動車運転手(貨物の搬出、搬入、運送)であるところ、原告の後遺障害である外貌醜状によって、初対面に近い顧客との折衝に消極的になっていること、社内の評判が落ちて将来の昇進や転職に影響したりする可能性が否定できないことが認められる」他、「男性においても外貌醜状をもって後遺障害とする制度が確立された以上、職業のいかんを問わず、外貌醜状があるときは、原則として当該後遺障害等級に相応する労働能力の喪失があるというのが相当としました。

○さらに原告について当該後遺障害等級の定める労働能力の喪失を否定するような特段の事情があるとまでいえないから、併合9級相当の労働能力の喪失があるものというのが相当である」として、「基礎収入を年額355万7202円とし、労働能力喪失率を後遺障害等級併合第9級の35%とし、労働能力喪失期間を症状固定時の41歳から67歳までの27年としたライプニッツ係数を適用し、原告の逸失利益を1823万0838円とするのが相当である」と67歳まで35%の労働能力喪失により後遺障害逸失利益を認定しました。

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主  文
1 被告らは、原告に対し、連帯して2,658万5,658円及びこれに対する平成23年5月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告乙山春子は、原告に対し、26万6,210円及びこれに対する平成23 年5月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は、これを4分し、その1を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。
5 この判決は、仮に執行することができる。

第一 請求
1 被告らは,原告に対し,連帯して3,781万5,743円及びこれに対する平成23年5月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Bは,原告に対し,29万5,790円及びこれに対する平成23年5月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
 本件は,原告が,別紙交通事故目録記載の交通事故(以下「本件事故」という。)によって損害を被ったとして,被告らに対し,自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条又は民法709条に基づく損害賠償請求として,人身損害に関する損害賠償金等3,781万5,743円及びこれに対する不法行為(本件事故)の日である平成23年5月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求めるとともに,被告Bに対し,民法709条に基づく損害賠償請求として,物的損害に関する損害賠償金29万5,790円及びこれに対する不法行為(本件事故)の日である平成23年5月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求めた事案である。


         (中略)

第三 当裁判所の判断
1 争点(1)(本件事故の態様及び過失割合)について

(1) 前記第二の1の事実、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。

         (中略)

2 争点(2)(被告らが支払うべき原告の損害賠償額)について
(1)弁護士費用以外の各損害項目について検討する。
ア 治療費
 Eセンター及びF大学病院における治療費以外の治療費については,当事者間に争いがない。
 証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば,Eセンターの治療費として少なくとも14万5,058円,F大学病院の治療費として少なくとも27万6,170円が生じた事実を認めることができる(いずれも原告主張の金額)。

イ 治療関連費,休業損害及び物的損害
 いずれも当事者間に争いがない。

ウ 逸失利益
(ア)証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば,原告の後遺障害である外貌醜状は,口唇部に残存している5センチメートル以上の線状痕であり,人目に付く程度のものであること,原告の現在の職業が自動車運転手(貨物の搬出,搬入,運送)であるところ,原告の後遺障害である外貌醜状によって,初対面に近い顧客との折衝に消極的になっていること,社内の評判が落ちて将来の昇進や転職に影響したりする可能性が否定できないことが認められる。

 そして,男性においても外貌醜状をもって後遺障害とする制度が確立された以上,職業のいかんを問わず,外貌醜状があるときは,原則として当該後遺障害等級に相応する労働能力の喪失があるというのが相当であり,原告について当該後遺障害等級の定める労働能力の喪失を否定するような特段の事情があるとまでいえないから,併合9級相当の労働能力の喪失があるものというのが相当である。

(イ)もっとも,原告の逸失利益は,本件事故直前の年収を基準に算定するのが相当であるところ,証拠(略)によれば,原告の本件事故直前の年収額は355万7,202円であることが認められる。

(ウ)してみると,基礎収入を年額355万7,202円とし,労働能力喪失率を後遺障害等級併合第9級の35%とし,労働能力喪失期間を症状固定時の41歳から67歳までの27年としたライプニッツ係数14.6430を適用し,原告の逸失利益を1,823万0,838円(=355万7,202円×0.35×14.6430)とするのが相当である。

エ 慰謝料
 原告の前記負傷の状態のほか,原告の入院期間は通算22日,通院期間は20ヶ月16日であるから,これらを基礎として算定される原告の傷害慰謝料としては193万3,998円が相当である。
 また,原告の後遺障害等級は併合第9級であるほか,原告において外貌醜状による前記ウ(ア)認定の日常生活における相当程度の支障を考慮するときは,これらを基礎として算定される原告の後遺障害慰謝料は690万円であるというのが相当である。

(2)以上の前記(1)アないしエのうち物的損害を除いた合計額は2,923万9,204円であるところ,これに前記1(2)イで判断した過失割合を乗じると,原告の人身損害賠償金元金2,631万5,283円(=2,923万9,204円×0.9)が求められ,これに既払金214万6,503円(証拠(略)及び弁論の全趣旨により認める。)を充当した残額(損害賠償額(元金))は2,416万8,780円であると算定される。

 また,原告の物的損害賠償金元金は26万8,900円であるところ,これに前記1(2)イで判断した過失割合を乗じると,原告の物的損害賠償金元金24万2,010円(=26万8,900円×0.9)であると算定される。
 そして,証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば,原告は本件事故の被害者として,原告訴訟代理人との間で委任締約を締結して本件訴訟を追行せざるを得ない状態にあるところ,本件事故と相当因果関係にある弁護士費用は,原告の本件事故による損害として,人身損害賠償請求に関するものは241万6,878円,物的損害賠償請求に関するものは,2万4,200円を認めるのが相当である。

(3)してみると,被告らが原告に対し自賠法3条に基づき連帯して支払うべき本件事故による人身損害賠償額は,別紙「検討一覧表」の「(裁判所)」欄記載のとおり,2,658万5,658円であるというのが相当である。
 また,被告Bが原告に対し民法709条に基づき支払うべき本件事故による物的損害賠償額は,別紙「検討一覧表」の「(裁判所)」欄記載のとおり,26万6,120円であるというのが相当である。

3 結語
 以上の次第であり,原告の本訴請求は,被告らに対する人身損害賠償金2,658万5,658円及びこれに対する本件事故日である平成23年5月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で,また,被告Bに対する物的損害賠償金26万6,120円及びこれに対する本件事故日である平成23年5月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,それぞれ理由があるから,その限度で認容し,その余の部分は理由がないから棄却することとし,訴訟費用については民事訴訟法65条,64条,61条を適用し,仮執行の宣言について同法259条1項を適用して,主文のとおり判決する。
さいたま地方裁判所第4民事部 裁判官 鈴木拓児
以上:3,687文字

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