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後遺障害等級第11級脊柱変形労働能力喪失率20%を認めた地裁判例紹介

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令和 1年 5月12日(日):初稿
○後遺障害等級第11級7号「脊柱に変形を残すもの」に該当する交通事故被害者の労働能力喪失率についての判例を探しています。加害者側保険会社は後遺傷害「脊柱の変形」については、これに伴う身体の不自由さを主張・立証しない限り、原則として労働能力喪失を認めません。ですから後遺傷害11級の標準労働能力喪失率20%を前提とする示談交渉はまず成立せず、訴訟で解決することになります。

○訴訟になっても、私が探すことができる判例データベースでの「脊柱の変形」についての労働能力喪失率認定は14%が多く、11級標準労働能力喪失率20%を認める裁判例は殆ど見かけません。11級で労働能力喪失率20%を認める判例は、被害者側にとっては貴重な判例ですが、平成28年6月22日神戸地裁判決(交通事故民事裁判例集49巻3号755頁)で、77歳女性被害者の後遺障害(併合11級)逸失利益算定に際し、賃金センサス女性学歴計年齢別平均賃金の60パーセントを基礎に7年間にわたり労働能力を20パーセント喪失するとして、ライプニッツ方式により算定したものがありましたので、関係部分を紹介します。

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主   文
1 被告は,原告に対し,737万3824円及びこれに対する平成22年9月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は,原告に対し,3848万1874円及びこれに対する平成22年9月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,歩行中の亡X1(以下「X1」という。)が被告運転の自動車に衝突され,人身損害が発生したとして,X1の相続人である原告が,被告に対し,自賠法3条又は不法行為に基づく損害賠償として,3848万1874円及びこれに対する交通事故日である平成22年9月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めたという事案である。

         (中略)

第3 争点に対する判断
1 認定した事実


         (中略)

(9) 後遺障害慰謝料 420万0000円
 X1の脊柱の障害については,上記1認定のとおり,X1は,本件事故により第3腰椎圧迫骨折の傷害を負ったこと,腰椎レントゲン写真の所見があることが認められることに加えて,C医師の回答所見(甲8の2)及び書面尋問並びにE作成の意見書(乙17)によれば,X1の第3腰椎の椎体の前方圧迫率は43%ないし44%であり,第3腰椎前右側の中等度の椎体圧迫骨折であり,同所を中心に左凸側彎があったが,脊柱管には異常がなかったことが認められる。

 そうすると,上記1認定の腰椎レントゲン写真の所見上,X1の第3腰椎の前方椎体高は後方椎体高の50%以下に減少しているとはいえず,腰椎レントゲン写真上,その他に「せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し,後彎が生じているもの」といえる所見は認められないから,X1の脊柱の変形は,「せき柱に中程度の変形を残すもの」として,後遺障害等級8級に準ずる後遺障害であることを認めることはできず,「せき柱に変形を残すもの」として,後遺障害等級11級7号相当の後遺障害であると認めるのが相当である。

 そして,X1の両下肢にしびれを伴う痛み,右下肢安静時痛等の症状は,他覚所見が認められないものの,上記1認定の本件事故によるX1の受傷の内容・部位・程度に照らし,両下肢にしびれを伴う痛み,右下肢安静時痛等の自覚症状が残存したことに医学的な矛盾はないから,上記1認定の後遺障害等級認定結果のとおり,「局部に神経症状を残すもの」として,後遺障害等級14級9号相当の後遺障害を認めるのが相当である。したがって,X1の後遺障害は後遺障害等級併合11級相当を認めるのが相当であり,後遺障害慰謝料は420万円を認めるのが相当である。

(10) 後遺障害逸失利益 201万1375円
 上記(9)認定のとおり,X1の後遺障害は後遺障害等級併合11級相当を認めるのが相当であることに加えて,上記1認定のX1の年齢,後遺障害の内容・部位(腰部及び下肢)・程度に照らし,労働能力喪失率は20%を認めるのが相当である。そして,上記(7)認定のとおり,X1の基礎収入は平成22年度女性全学歴70歳以上平均賃金の60%を認めるのが相当であり,X1の労働能力喪失期間は平均余命13.59年の2分の1である約7年(ライプニッツ係数5.786)を認めるのが相当である。したがって,後遺障害逸失利益は201万1375円(289万6900円×0.6×0.2×5.786)を認めるのが相当である。


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