平成29年 1月21日(土):初稿 |
○平成29年1月20日、当事務所で第4回目となる交通事故実務研究会が開催されました。交通事故実務研究会は、気仙沼市の「東忠宏弁護士」と大崎市の「菅原健弁護士」の声がけで始まった原則として被害者側専門で交通事故損害賠償請求事件に熱心に取り組みたいと念願している弁護士10数名で、平成28年3月に発足した勉強会です。会場を当事務所として3ヶ月に1回を目処に開催し、何とか第4回目まで到達しました。 ○第4回目研究会での「菅原健弁護士」が報告した「任意保険会社から治療費打ち切り宣告された場合の対処方法」が実務で参考になりますので、そのレジュメを紹介します。「菅原健弁護士」は、当事務所の初代勤務弁護士で2年間の在籍中、難しい交通事故訴訟事件も熱心に取り組み成果を上げてくれました。平成26年12月から、仙北の大崎市に「菅原・佐々木法律事務所」を開設し、その後仙南の大河原町に「仙台南支店」も開設し、今や、当事務所より遙かに稼いでいると専らの噂です(^^)。 ******************************************* 仙台交通事故勉強会研究報告 任意保険会社から治療費打ち切り宣告された場合の対処方法 報告者;菅原 健 1 任意保険会社から治療費打ち切り宣告 保険会社による「一括払い」:自賠責分を含む損害賠償金額を保険会社が被害者に支払い、後日、保険会社から自賠責保険金を請求する方法(一括払制度)。一括払制度が行われることが多い。 任意保険会社から治療費打ち切り宣告=一括払制度の打ち切り 2 16条請求(被害者請求、直接請求) 自賠責法16条「第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。」 自賠責による傷害の場合の損害賠償額は上限120万円(後遺障害による損害を除く)。 治療費、看護料、通院費、諸雑費等が対象となる。 3 任意保険会社から治療費打ち切り宣告された場合、16条請求で対処できないか (1)自賠責保険・共催紛争処理機構に質問したところ… 第三者行為による傷病届を提出し、健康保険を使って自費で治療費等を支払った後に、16条請求を行ってください。なお、自賠責による調査は入ります。 とのことでした。 この方法では、まずは、被害者が治療費等を立替える必要があります。請求から入金まで約1ヶ月程度のことが多い。 第三者行為による傷病届について https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3060/r143 (2)一括請求と同じように医療機関から自賠責に直接請求できないか 直接請求してもらえれば、被害者が治療費等を立替える必要がない。 →病院は殆ど応じてくれない。接骨院は応じてくれる場合もある。 ①病院が応じてくれない理由 ・調査事務所の調査で払われないことがある ・120万円の枠がどこで埋まるか分からない 整骨院の施術費などが、幾ら支払われているかは、病院には把握できない。120万を超えたぶんを自賠責に請求できない。 ・手続を理解していない。する気もない。 ②接骨院が応じてくれやすい理由 ・病院が応じない理由は接骨院にも当てはまるが、経営的な理由から応じる必要性がある場合も… (3)実際のやり方 まず、既払金を正確に算定し、120万円を超えていないかを確認する。 ① 病院や接骨院で、任意保険打ち切りを伝え(すでに連絡されていることが多いらしいですが)、「自賠責で払ってもらうから、治療費を窓口では払えない」と伝える。 ② ①に病院や接骨院が応じれば、患者自身が、病院等から、自賠責の書式の施術明細書や明細書を交付してもらう(通常、病院が任意保険会社に送付している例の書類) ③ 患者が施術明細書や明細書を、弁護士に渡し、弁護士が被害者請求と同様の書類を添付して、自賠責会社に請求する。病院、接骨院の口座と弁護士の口座を記載。 ④ 自賠責会社が認めれば、自賠責会社から、病院や接骨院の口座に送金。治療や施術が終わって、120万円に満たない残りがあれば、残りは弁護士の預かり金口座に送金してもらう。 治療中も治療費等を把握し、120万円を超えそうになったら、窓口での支払いに変更する。 以上:1,782文字
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