平成27年 9月14日(月):初稿 |
○「交通事故損害賠償請求事件医療記録開示請求での手数料について」の続きです。 厚労省HP「診療情報の提供等に関する指針」では、医療機関の管理者は、申立人から、診療記録の開示に要する費用を徴収することができる。」と記述されているだけでしたが、その後調べた医療記録開示手数料に関するデータを紹介します。 ○先ず日本医師会平成14年10月作成「診療情報の提供に関する指針[第2版]」です。 診療情報開示手数料に関係する部分は以下の通りです。 1 基本理念 1-1 この指針の目的 日本医師会は、医師が診療情報を積極的に提供することにより、患者が疾病と診療の内容を十分に理解し、医療の担い手である医師と医療を受ける患者とが、共同して疾病を克服し、医師、患者間のより良い信頼関係を築くことを目的として、会員の倫理規範の一つとして、この指針を制定する。 日本医師会のすべての会員は、この目的を達成するために、この指針の趣旨に沿って患者に診療情報を提供する。 3-6 費用の請求 医療施設の管理者は、診療記録等の謄写に要した代金等の実費を、診療記録等の開示を求めた者に請求することができる。 指針3-6関係 1 実費負担について この項は、診療記録等の閲覧、謄写などに要した代金の実費を、請求することができる旨を定めるものである。例えば、エックス線写真等の謄写に要する費用は、当然、患者など請求者の負担となる。記録の量が膨大な場合には、施設内で謄写をするために長時間、職員等を謄写業務に専念させる必要が生ずる。その場合の人件費を謄写費用のほかに加算できるかという問題があるが、合理的な範囲であれば許される。 2 診療情報提供の対価について この指針では、診療情報提供の対価についての定めがない。これは、むしろ診療報酬体系の中で決める方が、妥当であると考えるからである。したがって、指針に定めがないことは、診療情報提供に対する報酬請求権を否定することを意味するものではない。 6-2 苦情処理機関の設置 医師と患者との間の診療情報の提供、診療記録等の開示に関する苦情受付の窓口および苦情処理機関を医師会の中に設置する。 指針6-2関係 1 苦情受付窓口、苦情処理機関設置の必要 診療情報の提供、なかんずく診療記録等開示の請求をめぐって、医療施設の管理者・医師と患者との間に紛争が発生した場合の受け皿として、都道府県医師会内に、患者からの苦情相談を受け付ける窓口および苦情処理機関を設置することが有用である。苦情処理機関内に当事者と利害関係のない第三者が介在することによって、当事者の誤解が解消し、事態に即した円満な解決が期待されるからである。 2 苦情処理機関の公平性 苦情処理機関を設置する場合、法律家、その他の医師以外の学識経験者を含む構成とすることが望ましい。これにより、苦情処理機関の公平性が担保されるからである。 ○次に厚生労働省平成16年12月24日「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」があります。 個人情報保護法第30条手数料の規程に関して医療従事者の場合をコメントしています。 個人情報保護法第30条(手数料) 個人情報取扱事業者は、第24条第2項の規定による利用目的の通知又は第25条第1項の規定による開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。 2 個人情報取扱事業者は、前項の規定により手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。 ・医療・介護関係事業者は、保有個人データの利用目的の通知、又は保有個人データの開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができ、その際には実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、手数料の額を定めなければならない。 ○日本医師会指針のコメントで「診療情報提供に対する報酬請求権を否定することを意味するものではない。」との記述が気になりますが、厚労省ガイドライン指針では、「実費を勘案して合理的であると認められる範囲内」との抽象的基準も基準としては不十分です。「情報提供に関する報酬請求は、実費の2倍を超えてはならない」等と具体的に記述して貰いたいものです。 以上:1,755文字
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