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センターラインオーバー車両に衝突された側の責任を認めた判例紹介

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平成27年 4月19日(日):初稿
○「過失割合不明な場合の人身傷害保険金請求金額・順序等関する質問4」で過失割合不明な場合の責任についての重要条文自賠法第3条を紹介していますが、交通事故人身損害賠償訴訟においては最重要条文ですので再度記載します。

自動車損害賠償保障法(自賠法)
第3条(自動車損害賠償責任)
 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。


○今般、この条文を根拠にアッと驚く判決が出されました。「遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてという。」ことですが、遺族側担当弁護士もその結論に驚いたと思われます。

○事案は、被害者Aさんは、自己所有者をBさんに運転させて自分は助手席に乗っていたところ、Bさんがセンターラインオーバーで対向車両のCさん運転車両と正面衝突し、Aさんが死亡したものです。運転者Bさんが死亡し、BさんがCさんを訴えてもおそらく事故の原因はBさんのセンターラインオーバーにあり、100%Bさんの過失と認定されそうです。

○ところがこの事案は、助手席に乗っていたAさんが死亡し、その死亡原因はBさん運転車両とCさん運転車両の衝突にあり、Bさん、Cさんの共同過失によりAさんが死亡したとして、Aさんの遺族がCさんを訴えたものと思われます。判決は、対向車運転者のCさんが「『仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったはいえない』と、過失が全くないとの証明ができない」としてCさんの責任を認め、4000万円余りの損害賠償を認めたとのことです。

○現場は真っ直ぐな一本道が長く続き、運転者は、対向車両のセンターラインオーバーに直ぐ気付くはずで、気付いた時点でクラクションをならして事故を防止する義務があり、この義務に違反している可能性があり、無過失とは断定できないとの結論と思われます。Bさんが、突如センターラインオーバーした場合は、クラクションを鳴らすなど出来ず、Cさんの過失は認められませんが、本件ではセンターラインオーバー状態での運転時間が長かったのかも知れません。被害者側にとっては大変有り難い判決であり、判決全文が公開されたらじっくり内容を検討する価値のある判決です。

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「もらい事故」でも賠償義務負う 福井地裁判決、無過失の証明ない
福井新聞ONLINE 4月17日(金)17時5分配信


 車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが13日、福井地裁であった。原島麻由裁判官は「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。

 遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてという。

 死亡した男性は自身が所有する車の助手席に乗り、他人に運転させていた。車の任意保険は、家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態だった。対向車側は一方的に衝突された事故で、責任はないと主張していた。

 自賠法は、運転者が自動車の運行によって他人の生命、身体を害したときは、損害賠償するよう定めているが、責任がない場合を「注意を怠らなかったこと、第三者の故意、過失、自動車の欠陥があったことを証明したとき」と規定。判決では、対向車側が無過失と証明できなかったことから賠償責任を認めた。

 判決によると事故は2012年4月、あわら市の国道8号で発生。死亡した男性が所有する車を運転していた大学生が、居眠りで運転操作を誤り、センターラインを越え対向車に衝突した。

 判決では「対向車の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とした一方、「仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったはいえない」と、過失が全くないとの証明ができないとした。

以上:1,926文字

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