平成27年 4月15日(水):初稿 |
○「整形外科医の積極的指示がなくても接骨院施術費を損害認定した判例紹介」の続きで医師医療費以外の治療関係費に関する判例紹介です。 「針灸・マッサージ費用等医師治療費以外の治療費」に「民間療法である整体費用について損害と認められた判例は見つけることが出来ず」と記載していましたが、先ず「整体施術費」名下の金110万円の請求を全て棄却された平成26年1月28日東京地裁判決(自保ジャーナル・第1918号)を紹介します。 ○原告は事故により外傷性くも膜下出血、肋骨骨折、頸椎胸椎骨折の傷害等から自賠責3級3号高次脳機能障害等併合2級後遺障害認定を受けた34歳男性ですが、判決整体施術費関係部分は以下の通りです。 整体施術費としての請求ですが、裁判所判断では「鍼治療」と表現しています。「鍼治療」は、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律によって認められた国家資格です。 (原告主張) (ウ)整体施術費 110万7000円 脳外傷による頭痛を少しでも緩和するため、医師の薦めにより通院した。 (被告主張) (ウ)整体施術費110万7000円は否認する。施術の必要性及び内容が不明であり、かつ、高次脳機能障害による症状の治療として整体が必要であったと認めることはできない。 (裁判所判断) ウ 整体施術費 0円 証拠(略)によれば、原告一郎は頭痛等の緩和のために鍼治療を受けていたこと、丙川医師は、同事実を把握していたことが認められる。しかし、丙川医師が鍼治療を薦めたと認めるに足りる証拠はなく、また、鍼治療等が、頭部外傷の後遺症としての頭痛に効果があるとの医学的知見を認めるに足りる証拠もない。したがって、原告ら主張の整体施術費は、本件事故との相当因果関係が認められない。 ○次に同じ東京地裁ですが、整骨院施術費の大部分を認めた平成26年1月14日東京地裁判決(自保ジャーナル・第1918号)を紹介します。原告は、事故により、頭部打撲傷、顔面挫創、左肘打撲擦過創、左腸骨打撲擦過創、両膝打撲擦過創、左足関節打撲擦過創、前胸部打撲傷、頸椎捻挫、右第3指PIP関節捻挫、顔面瘢痕等の傷害を受けた男性です。判決整骨院施術費関係部分は以下の通りです。 (原告) キ H整骨院 原告は、平成22年6月5日から同年9月1日までH整骨院に通院した(実通院日数53日)。 ク J整骨院 原告は、平成22年9月2日から平成23年3月14日までJ整骨院に通院した(実通院日数149日)。 原告は、本件事故により、次の損害を被った。 ア 治療関係費 647万698円 (中略) (キ) H整骨院 39万4580円 (ク) J整骨院 120万2890円 (被告) 争う (裁判所判断) キ H整骨院 39万4580円 証拠(略)によれば、H整骨院の施術費等として39万4580円を要したと認められる。 ク J整骨院 119万8740円 証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、平成23年3月14日までのJ整骨院の施術費等として119万8740円を要したことが認められる。 原告は、上記の他に4150円の施術費等を要したと主張し、平成23年5月13日、同月17日及び同月20日の同整骨院の領収証を提出するほか、同年4月15日及び同月18日にも同整骨院に通院したと主張する。しかしながら、原告が同年4月15日及び同月18日に同整骨院に通院したことを認めるに足りる証拠はない上、前記前提事実等(4)及び証拠(略)によれば、J整骨院においては、同年3月14日で本件事故による受傷に係る施術が中止されており、原告は、H整骨院及びJ整骨院において約9ヶ月半にわたり施術を受けた後に施術中止に至ったものであることを考慮すると、施術中止から1~2ヶ月経過後の上記施術費等について、本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 以上:1,578文字
|