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平成26年 6月28日(土):初稿 |
○先日、相談に訪れた交通事故被害者の方から自賠責保険の後遺障害認定について、事前認定制度と被害者請求の二方式があり、HP記事では、後者の方がズッと有利と解説されていますが、実際はどうなのでしょうかとの質問を受けました。それに対し、おそらく行政書士さんのHPには、そのような解説が多いはずですが、結局は出された証拠-医療記録によって決まるもので、いずれが有利とは断定できません、と回答しておきました。 ○当事務所HPでの事前認定に関する解説は、「任意保険の基本」に次のように記載していました。 ⅲ) 示談代行制度と一括払制度 PAP・SAPにおいて、任意保険会社が被保険者に代って被害者との折衝・示談・調停訴訟手続を行う制度が示談代行制度です。 任意保険会社が、自賠責保険支払部分を推定して、一括して損害賠償金を被害者に支払い、その後に任意保険会社が自賠責保険会社から自賠責保険金相当額を回収する制度が一括払制度です。 現在の示談代行のほとんどがこの一括払制度で処理されています。 自賠責保険支払部分について、自算会に事後的に厳しく査定された場合、任意保険会社は自賠責保険支払予定額を回収できないこともあります。そこで、任意保険会社は示談を決める前に過失と後遺障害について自算会に事前認定を受けた上で示談をすすめるのが普通です。 ○その後、「交通事故 後遺障害 事前認定 被害者請求」のキーワードでグーグル検索すると、案の定、行政書士さんのHPでの解説が圧倒的に多く出てきます。その解説を見ると、多くは、私と同様に、結局は、提出資料-医療記録等によるとの客観的な解説が多く、良心的と感じました。しかし、なかには、「事前認定による後遺障害の申請は、裁判であれば、自分を弁護するはずの委任をした弁護士が、加害者であるようなものです。これほどおかしい話はありません。」、「被害者請求を行えば、後遺障害が認定される確率がぐんとアップするのです。任意保険会社には後遺障害に関する一切の手続きは行わせてはいけません!被害者請求、つまりは自ら行うか、専門家または当事務所へご相談ください!」なんて過激な論調もありました。 ○言われてみると「事前認定による後遺障害の申請は、裁判であれば、自分を弁護するはずの委任をした弁護士が、加害者であるようなものです。これほどおかしい話はありません。」は、確かに説得力があります。保険会社悪人説が大前提にあります(^^;)。私の場合、後遺障害認定は、収集した医療記録を提出するだけで、そこに保険会社に有利なものだけ提出して不利なものは提出しないなんて作為はなかろうと信頼していました。しかし、この信頼ができないとすれば、被害者請求を原則とすべきでしょう。 ○この被害者請求は、経験豊富な行政書士さんに依頼した方が良い場合もあります。当事務所でも等級が低い場合の被害者請求や異議の申立は行政書士さんを紹介しています。主治医に同行したりきめ細かにやってくれるからです。被害者請求は、必ずしも弁護士に限らず、地元に交通事故に熱心に取り組む行政書士さんが居ればそちらに依頼しても宜しかろうと思います。 ○当事務所では事前認定を原則として、被害者請求をしないのは、弁護士費用の関係もあります。保険会社に任せた事前認定であれば一切費用がかかりません。弁護士或いは行政書士に依頼すると所定の費用がかかります。また、当事務所では、弁護士費用を決める基準は、保険会社の事前支払案での金額に弁護士が登場して、上乗せした金額を報酬金の基準にしています。ですから保険会社の事前提示金額を得るためには、一括払制度による事前認定を原則としていました。 ○最近は、行政書士さんが被害者請求を代行し所定の自賠責保険金を受領し、その後、任意保険会社の支払提案を受け、被害者請求を担当した行政書士さんから金額上乗せの示談交渉事件を紹介されるケースも増えてきました。大変、有り難いことです。 以上:1,627文字
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