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平成26年 4月23日(水):初稿 |
○「加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例まとめ1」を続けます。 私は、交通事故訴訟の実態は被害者と加害者の争いではなく、被害者と加害者側任意保険会社の争いであり、被害者は加害者側任意保険会社に直接請求をし、訴訟においても被害者と保険会社を当事者とすべきと確信しております。その最大の理由は、加害者と保険会社の利益相反関係であり、実質は保険会社顧問弁護士が、保険会社の支払額を少なくするため即ち保険会社の利益のためにのみ、加害者本人の代理人と称して訴訟活動する不合理です。勿論、保険会社が自己の利益のため支払額を少なくするため行動することは、当然のことで、何ら不合理ではありません。 ○加害者は、保険会社に対し、少しでも多くの損害賠償金を支払うことを期待して自動車保険契約を締結します。即ち保険会社には少しでも多くの損害賠償金を被害者に支払って貰うのが加害者の利益です。しかし、支払当事者である保険会社は、加害者の期待・利益に反する行動を取ります。保険会社の顧問弁護士が、加害者の利益のためではなく、保険会社の利益ために加害者の代理人と称して、訴訟活動する実態は、何とか是正するのが私が直接請求にこだわる最大の理由でした。 ○もし私が保険会社の顧問弁護士であれば、この訴訟実態から、顧問会社である保険会社の代理人として訴訟活動することを望みます。実質は保険会社の代理人であるのに、加害者の代理人と称することを引け目を感じるからです。私は、交通事故損害賠償請求事件として、平成19年1月以来既に50数件の保険会社直接請求訴訟を提起していますが、直接請求自体を争われたのは、9件目と16件目の2件だけで、この2件以外の代理人は、直接請求について争いませんでした。交通事故訴訟で登場する代理人はいずれも保険会社顧問弁護士ですから、むしろ保険会社への直接請求の方が妥当と思われる方もいたかも知れません。いずれにしても保険会社直接請求自体に異議を唱える保険会社顧問弁護士は20人に1人も居ませんでした。 ○ところが、平成21年5月に直接請求9件目として提起した三井住友海上相手に出した訴訟の代理人M弁護士は、直接請求方式について「保険請求事件の根幹を覆す異常な見解に基づく請求」であり、到底、認められないと、厳しく直接請求を否定されました。それまでの8件の直接請求では、当初戸惑っても、約款6条②(3)に従って加害者本人には請求しないとする書面を先ず送付すれば直接請求で構いませんと言う態度でしたので、M弁護士にも同様に伝えました。ところが、M弁護士は、兎に角、直接請求は認めないと一貫してぶれず、正に信念に基づく直接請求拒否でした。 ○私としては、約款6条②(3)に従ってその文言通りの直接請求であり、なんでこれほど直接請求拒否にこだわるのだろうかと不思議に感じておりました。また、直接請求16件目訴訟某共済代理人S弁護士も同様に厳しく直接請求を拒否されましたが、判決で直接請求が認められると控訴もされずアッサリ引き下がりましたので、直接請求自体が否認されることはないだろうと甘く考えていました。 ○ところが、正に思わぬところで足をすくわれたのが平成25年10月11日仙台地裁判決でした。この判決では、事故が7ヶ月おいた2件にまたがり、内容も脳脊髄液減少症と交通事故傷害の因果関係の有無という極めて難しいもので、その間、自賠責後遺障害認定申請をして、その結果を待つなどなどして審理が長引き、担当3人目の裁判官は、大変真面目な方で、激しく争いになっている直接請求方式について真摯に取り組み、約款もつぶさに検討されました。 ○その結果、平成21年5月提訴後、3年以上経過した平成24年12月の弁論期日に至り、担当裁判官から、約款第25条(損害賠償請求権の行使期限)の「(2)損害賠償請求権者の披保険者に対する損害賠償請求権が時効によって消滅した場合」の存在を指摘されました。裁判官からこの点を指摘されたときは、一瞬、焦りましたが(^^;)、同年10月には自賠責保険から後遺障害等級第14級が認められており、また、何より任意保険会社に対する直接請求訴訟を提起していること自体が加害者に対する消滅時効中断事由に該当すると考えており、本件では消滅時効は全く問題にならないと平成25年1月準備書面で主張しました。 ○ところが、この平成25年1月準備書面の反論の形で、三井住友は、平成21年5月の提訴から4年経過した平成25年4月準備書面で初めて消滅時効援用の主張をしてきました。そしてこれに吊られるように第2事故の任意保険会社日新も同様に消滅時効援用の主張をしてきました。しかし、私としては、訴訟実態からよもや消滅時効完成が認められるとは思いませんでしたが、これが大甘でした(^^;)。 ○消滅時効完成による請求棄却判決をお客様に説明するとき私自身の判断の甘さを深くお詫び申し上げましたが、お客様は、この点は殆ど無関心で、あれほど自分を苦しめ、また、現在も苦しんでいる脳脊髄液減少症を否認されたことに怒り心頭でした。お客様からは、是非控訴審で脳脊髄液減少症を認めて貰って下さいと叱咤激励されましたが、更に控訴審で衝撃の判断が待っていました。後日紹介します。 以上:2,159文字
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