平成24年 7月 4日(水):初稿 |
○「脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準-解釈例1」で篠永正道氏著「あなたの『むち打ち症』は治ります!」の記述を紹介しました。この著作の第4章「各科の専門医が証言する『脳脊髄液減少症』-難治性の病気への新しいチャレンジ-」は、さまざまな専門分野の医師による「脳脊髄液減少症」への考えや治療例が掲載されており、交通事故訴訟実務を担当する弁護士にとっては必読の著書と私は考えています。既に「頸椎捻挫治療の問題点-ある医者の感想に共感」、「頸椎捻挫治療概要-山口良兼整形外科医のまとめ」で内容の一部を紹介しております。 ○この「脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準-解釈例1」で篠永正道氏著「あなたの『むち打ち症』は治ります!」第4章最後の「『脳脊髄液減少症の新しい考え方』に対する私見」と題する寺下医学事務所代表寺下謙三氏の論考も大変参考になります。以下、私の備忘録です。 新しい概念が登場するときの考え方 ・医学の分野に限らないが、新しい概念が登場するときは、少なからず摩擦が生じる。 ・その摩擦の結果、 摩擦に屈して消える 摩擦を克服して広く認知される 新しいが間違いであるのに、新しいと言うことで一世を風靡するか、間違いと評価されて消える との場合分けがある。 「アガリクス」の例 ・アガリクスなどの抗ガン作用があるといわれる食品に対する医師の反応は、「頭から否定派」と「信奉者」の両極端に別れる ・患者も「疑問派」と「期待派」に分かれ、担当医と患者の気持ちがかみ合わないことが多い ・日本で承認前の治験薬について、 「効くかも知れないのに、使わずして死んでしまうかも知れない不安」 「安全が確認されていないものを使って悪化するかも知れない不安」 との葛藤に悩む ・医者や医学者には「寄らば大樹の陰」、「風見鶏」、「付和雷同」を決め込む人が意外に多い ・「不確かな新しい概念」に対する対処方は、受入を前提にするも、科学的な厳しい目で批判しながら接する 医学会では当たり前な「昨日の真実、今日の嘘」 ・不確かな科学の代表は、何と言っても医学の世界。それだけ人間は複雑に出来ている証拠 ・28年前の「劇症肝炎」治療法「交換輸血」は、いまでは化石。新鮮血の使用は、いまでは犯罪的行為 ・「運動中は水を飲むな」、「バター炒めよりマーガリン炒めの方が健康的」、「ガンは大きめに切り取る手術が一番」など「昨日の真実、今日の嘘」は医学の世界では枚挙にいとまがない 覚悟と期待 重い病気であるとの覚悟を持つとともに、どんな病気も治る可能性があるとの期待を持つことも重要 「脳脊髄液減少症の新しい考え方」に対する私見 ・基本的に受け入れる姿勢で、ある程度時間をかけながら検証していく。マイナスのデータには特に注意を払う。 ・完全なEBM(学術的・統計的にしっかりしたデータに基づいた医療)ではなくても、より診断、治療の実際の目安になるデファクトスタンダードによる「標準診断・標準治療」を先駆者の方々から、一般野石に向けて発表して欲しい 以上:1,239文字
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