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平成23年10月 4日(火):初稿 |
○平成23年10月3日、日弁連会館地下ブックセンターで、表記井上久医師著”医療審査「覚書」”(以下、本著と言います)を購入してきました。井上医師の著作購入は、「鞭打ち損傷と周辺疾患」以来2冊目です。井上医師は、本著の前書き「序に代えて」で「顧問にとして保険業界に首を突っ込んで、早や20年を過ぎました。」と記載しているとおり、山梨県立中央病院・東京労災病院・越谷市立病院などに勤務し整形外科診療の傍ら複数の損保・共済の顧問医業務に従事し日本損害保険協会・医師センターの講師もされており、完全に保険会社側の立場です。 ○そういうわけで前著「鞭打ち損傷と周辺疾患」もザッと斜め読みしておりますが、本著「序に代えて」の中ごろに「交通事故被害者の方々には一部非難めいたお言葉も頂戴しました」とあるように、被害者側一辺倒の私も、反感を感じざるを得ない記述も見られました。保険会社側顧問医の立場で記載されている以上当然と思われます。 ○本著も、保険の「(審査・給付)の実務に携わり、被害者や契約者と直接交渉することになる”これから”という和解保険会社スタッフの方々に是非お話ししておきたいことを、初老期認知症の兆候が現れ始めた頭と、スムーズに動かない指先と老眼を押して筆を執った次第です。」と記載されているとおり、基本的には保険会社側の立場での記述ですが、ザッと斜め読みした感じでは、ニュートラルで良心的記述も多々あるように感じました。 ○本著は、第1章基礎編と第2章実務編に分かれ、基礎編は、「なってみないと分からない」から始まり、「お互いの無知を知れ!」、「医学は分からないことばかり」、「医師は診断書の書き方を知らない」、「病名のつけ方を知らない」、「医師は外傷性と外傷後を混同して使う」と刺激的な表題があるかと思えば、「これは!と思った医療照会状はほとんどない」、「医師が意味・趣旨を理解できない質問は愚問」とか、保険会社スタッフの照会、質問ですが、良く被害者主治医等に照会・質問をする私のことも言われているのではと思うような、ハッとする表題もあります。 ○この「これは!と思った医療照会状はほとんどない」には、「照会を出す側の損保会社顧問医、そしてそれを受ける側の臨床医(主治医)としての経験から、その際の留意点を思いつくままに書き連ねていきます。」とあり、「病歴・年表を作る」、「照会の目的を定め、逆行性に質問を考える」、「医師の無知を認識した上での前置きが必要」等の表題で医師から有意義な回答を得るためのコツが記載されているようです。 ○「記載されているようです。」とはまだ中身をじっくり読んでいないからの表現ですが、これらは、被害者側弁護士として主治医に照会をする場合も、目的は全く同じはずであり、大いに参考になると思われ、今後、熟読し、重要と思われる点は、このHPに備忘録として残していくつもりです。 以上:1,192文字
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