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平成23年 6月29日(水):初稿 |
○交通事故による傷害の治療を継続し、症状が固定してもなお、障害が残っている場合、その程度に応じて後遺障害が認定されます。後遺障害の認定は、治療を継続してくれた医師から、自賠責保険後遺障害診断書を作成して貰い、これを自賠責保険会社に提出し、実質は損害保険料率算定機構下部機関である各地区本部・自賠責損害調査事務所で行い、その結果が自賠責保険会社に届くと自賠責保険会社名義で後遺障害等級認定票が被害者に送付されます。 ○この後遺障害認定手続で最も重要なものが、治療を担当した医師が作成する自賠責保険後遺障害診断書で、特にその中の「精神神経の障害・他覚症状および検査結果」欄の記載内容です。裁判になった場合、裁判官も後遺障害の認定に当たってはこの欄の記載を最も重視しており、ここに大した記載がなされていないと、後遺障害が認定されることは先ずありません。「交通事故事件医療記録概観-自賠責保険後遺障害診断書」記載の通り、この記載に注意が必要ですが、医師によっては余り詳しく書いてくれない方も居ます。大雑把にしか書いていない場合、医師に詳しく記載したものを再発行して貰う必要があります。 ○この自賠責保険後遺障害診断書ですが、医師によっては書いてくれない方も居ます。当初より交通事故として保険会社に治療費を請求して損害保険治療をしてきた場合は、すんなり書いてくれますが、例えば、健康保険を使って一部自費負担して治療した場合などは、自賠責保険を使っていないので自賠責保険後遺障害診断書は書けないと言われる場合もあります。特に治療期間が短い場合は、書いて貰えません。 ○問題は、過失割合に争いがあり、治療が長引き、或いは従前の医師が信頼できなくなり、途中で病院を変えたなどの様々な事情で、健康保険を使って治療した場合、自賠責保険後遺障害診断書としては書けないと言われる場合もあります。いずれにしても保険会社は、自賠責後遺障害診断書がないと後遺障害認定申請の受付すらしてくれないようです。 ○一番の理想は、交通事故直後から、損害保険によって治療費を治療費を支払い、同じ医師に継続治療を受けて1ヶ月毎に交通事故用診断書を保険会社に提出して貰い、その医師から最終的に自賠責後遺障害診断書を書いて貰うことですが、実際は、特にむち打ち症等神経症状の場合、整骨院等に通院し、更に、治療効果が余り上がらないため他の病院に通院するなどして、理想通り行かないことが多くあります。 ○余り頻繁に病院を変更して歩くいわゆるドクターショッピングを繰り返すと、どの医師の診察期間も短くなり、どの医師からも自賠責後遺障害診断書を書いて貰えない場合もあります。いったん医師を決めた場合、可能な限り、長く通院し、医師との信頼関係を築いて、将来、快く自賠責後遺障害診断書を書いて貰えるようにすることも重要です。私が担当した交通事故事案でも、頻繁に医師を変え、どの医師の通院期間も短いため、或いは、事故から相当期間経て通院したため、どの医師からも自賠責後遺障害診断書を書いて貰えず、結局、裁判所でも後遺障害が認められなかった例もあります。 ○ ○ 以上:1,283文字
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