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保険会社(共済)への直接請求が激しく争われた例の初判決2

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平成22年 6月21日(月):初稿
○私は、加害者側で任意保険(共済)に加入している交通事故に基づく損害賠償請求は任意保険(共済)に「直接請求」することを大原則とすべきと確信し、このHPで繰り返し公表し、実際、これまで30件以上保険会社に対する直接請求の訴えを提起しています。「直接請求」に対し、保険会社側は当初戸惑いを見せても、最終的には争わない例が殆どで、これまで最後まで争われたのは僅かに1件だけでした。その1件の判決を「保険会社(共済)への直接請求が激しく争われた例の初判決1」で紹介しましたが、その裁判での、「直接請求」に関する部分の準備書面を紹介します。

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被告ら準備書面2に対する答弁及び反論
1 被告ら主張概要
 被害者である原告が、共済者被告Aに対し直接損害賠償請求をする要件である共済約款9条2項3号「損害賠償請求権者が被共済者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被共済者に対して書面で承諾した場合」に該当しない旨を被告らは主張し、その主張は極めて難解で理解しがたいものであるが、その理由骨子は次の通りである。
(1)共済約款で直接請求が出来る他の要件は、
1号判決等の確定
2号書面による合意
4号損害賠償金額の共済金額上限超えの明白
5号被共済者の破産等損害賠償責任追及の支障存在
であるが、5号以外は、被害者と共済者間の争訟で損害賠償額を確定することは予定されていない。


(2)3号の場合直接請求を認めると弁護士法72条との関係で整合性を著しく欠く?

(3)原告主張の直接請求を認めると、共済者は
①被共済者の意思に関わりなく訴訟を追行し、その解決を図ることが可能になり、
②被共済者からの協力を得られない場合でも訴訟追行を強要される結果となり、
③被共済者が無過失と考えている事案でも過失を認める訴訟追行が可能になり
いずれも不合理である。


(4)共済約款にある免責事由を主張した場合、或いは被共済者が反訴を提起する必要がある場合、訴訟が二度手間になる。

(5)文献・判例に照らしても原告主張は認められない。

2 原告の反論
 被告らの主張は、難解で理解しがたいところがあるが、以下の通り反論する。
(1)共済約款について
 原告第1準備書面3項記載の通り、直接請求の要件として、1号判決等の確定、2号書面による合意とは、別個の要件として「被共済者への損害賠償請求権不行使承諾」を号を分けて記載しているもので、この要件を満たす限り、直接請求が認められることは、何ら問題がない。原告の「被共済者への損害賠償請求権不行使承諾」は、訴状に加えて、被共済者本人に直接書面を通知し(甲18)、要件充足はなされている。

(2)弁護士法72条について
 被告らの主張趣旨不明で答弁の必要もない。

(3)直接請求を認める不合理性
 被告らは、この直接請求を認めると、被共済者の意思を無視し或いは協力なくして、訴訟追行が可能になり或いは強要されるから不合理であると主張するが、不合理どころか、正にこれが可能になるようにこの規定が認められたものである。何故なら、交通事故保険(共済)は、被害者救済を第一に制度化されたものであり、最終的には被害者への適正損害賠償実現を目的とするもので、被共済者(加害者)の意思如何に拘わらず、実現すべきものだからである。
 2005年版自動車総合保険の解説45頁(甲19)には「なお、本号の規定は、被保険者が保険会社による示談代行に同意せず、そのうえ被害者との交渉にも応じない場合等に備えたものであって」と至極正当な解説がなされている。
 尚、被告らは、共済者は被共済者が無過失と考えている事案でも過失を認める訴訟追行が可能になると、およそ、現実離れしたあり得ない場面を想定をしているが、このような場面は被害者側としては誠に有り難く大いに歓迎することを付言する。

(4)免責事由がある場合
 共済者が免責事由を主張した場合、被害者は速やかに訴えを取り下げ、加害者本人に請求するだけであり、何ら問題にならない。被共済者が、被害者側に反訴を提起する必要がある場合、独自に訴訟を提起すれば済むだけである。

(5)文献・判例
 これらの文献・判例は約款1、2号に関するものであり3号の解釈としては無関係である。
 尚、原告主張は第1準備書面に詳細に記載したとおりであり、現在原告代理人は、終了した事件を含めると30件近い訴訟事件を、この保険会社(共済)への直接請求形式で行っているが、殆どの事件が、被告保険会社(共済)側は最終的には争い無く実質審理に入って継続中であり、また終了した判決乃至和解が存在する。

以上:1,911文字

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