平成21年 1月15日(木):初稿 |
○「RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)の基礎」で、RSDの概要を説明しました。当時、交通事故外傷の後遺症としてRSDに苦しんでいる方の事件を扱っていたので自分なりの知識整理が必要だったからです。 ○RSDは反射性交感神経性ジストロフィーと呼ばれるように交感神経系の異常興奮が関与していると考えられていたところ、このような症例を集めて検討すると交感神経系が関与していないタイプがあり、交感神経を取り除くと却って痛みが増強するものまで発見され、反射性交感神経性と言う表現は正確ではないと言うことで複合性局所疼痛症候群(CRPS)と言う用語が生まれたとのことです。 ○局所の疼痛は、当初はカウザルギーと呼ばれていた時代もあり、RSDもカウザルギーも共に複合性局所疼痛症候群(CRPS)の一種で、この両者は神経損傷を伴っていると考えられるような明らかな組織損傷があるかないかで区別し、組織損傷のあるものがカウザルギー、組織損傷がないものがRSDと呼ばれており、カウザルギーはCRPSタイプⅠ型、RSDはCRPSタイプⅡ型との表現で区別されていた時代もありました。しかし現在はこのようなタイプⅠ型、タイプⅡ型の区別も必要ないとされているようです。 ○この辺のところは平成19年版赤本下巻239頁以下交通事故に関する講演会「痛みとは ~痛みのメカニズムとその種類~」でJR東京総合病院麻酔科・痛みセンター日本大学医学部附属板橋病院麻酔科有田英子医師が詳しく詳しく解説されています。 ○IAPS(世界疼痛学会)では疼痛の定義として「組織の実質的あるいは潜在的な傷害に結びつくか、このような傷害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚、情動体験」とされているそうですが、どうもピッタリ理解出来ません。この論文では、おそらく解明されている最新情報としての痛みの仕組みについても詳しく説明されていますが、これも医学素人にはなかなかピッタリと理解出来ません。 ○以下、私になりに理解した痛みのメカニズムの備忘録です。 有田英子医師論文は専門用語が多くなかなか理解できないので、ネットで調べて判りやすいと感じた「加茂整形外科医院第1回痛みのメカニズム」というページの要約を掲載します。 ・ひとが「痛いと感じるメカニズム」 痛みは知覚神経先端の「侵害受容器」が機械的刺激や発痛物質を感知することから始まる。 これを侵害受容性疼痛といい、ほとんどの筋骨系の痛みはこれに該当する。 次に「侵害受容器」が感知した痛みの刺激は知覚神経を通して脊髄→大脳と伝えられ「痛み」を感じる。 ・外からの機械的刺激のない痛みのメカニズム 交感神経の緊張により血管収縮を起こし、それが習慣化すると自分でも気づかないような些細なことで条件反射として交感神経緊張と血管収縮を起こし、さらに副腎を刺激して血管収縮をおこす。 血管収縮で局所乏血を起こしそのため組織の酸素欠乏になり,発痛物質生成し、この発痛物質が「侵害受容器」を刺激し痛みを脳へと送る。 脊髄まで送られた痛みの信号は脊髄反射として筋の攣縮を起こし、脳はそれを受けて血管収縮や筋の攣縮を起こし、局所乏血からさらに発痛物質が生成され「痛みの悪循環」が続き、脳に痛みの情報が記憶されて、わずかなことで反応して痛みを感じるようになり、これが慢性痛となる。 ・「痛み」の治療方法 「痛みの悪循環」阻止には可及的速やかな除痛が不可欠。 「侵害受容器」が発痛物質を受け取る「痛みの第1現場」、脳が痛みを認知し反応する「痛みの第2現場」があるが、先ず「痛みの第1現場」にトリガーポイントブロック、消炎鎮痛剤、レーザー、パップ剤、マッサージ等の治療を試み、再発を繰り返したり,なかなか治癒しない場合は第2現場に対し、認知行動療法、グループミーティング、心理療法、薬物(抗うつ剤、抗不安薬)等の治療を試みる。 以上:1,578文字
|