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高校生暴走自転車衝突事故被害-両親の責任2

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平成20年 9月18日(木):初稿
○高校生暴走自転車に衝突された場合の責任追及方法の話を続けます。
Aさんが高校生Bさんの暴走自転車に衝突されて重傷を負い、裁判基準で1500万円の損害を被り、Bさんに対し1500万円支払命令判決を取ってもBさんに財産がない限り実際の回収は出来ず判決は絵に描いた餅になります。そこで支払能力のあるBさんの両親C、Dさんに請求する方法を検討します。

○民法第714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)では、文言上は「責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」とされていますが、最高裁昭和49年3月22日判決で(民集28巻2号347頁、判例タイムズ308号194頁)で、未成年者が責任能力を有する場合でも監督義務者の義務違反と未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係がある場合、監督義務者に民法第709条の責任が生じるとされました。

○そこで高校生自転車暴走行為について両親C、Dさんの監督義務違反によるC、Dさんの損害賠償責任が認められる要件は
①C、Dさんが相当の監督をすれば加害行為即ち自転車暴走行為の発生が防止できたこと
②その監督が現実になしえたこと
③監督せずに放任しておけば暴走行為が発生する蓋然性が高いこと
等です。これは未成年者の自動車運転交通事故の場合の基準ですが(東京高裁昭和52年3月15日判決、交通民集10巻2号323頁)、自転車事故についても該当します。

○しかし自転車事故の場合、上記①乃至③の充足は,自動車交通事故の場合よりずっと厳しくなります。自動車運転であればエンジンキーの管理強化等によって使用できなくすることが容易ですが,自転車の場合は通常の通学手段等に利用されるのが普通で暴走行為の監督は大変困難だからです。Bさんが暴走癖があり何度も暴走事故を起こしていたのに構わず放置しておいた等の特殊事情がないと監督義務違反が認められる可能性は少ないと思われます。

○未成年の子の自動車運転事故についての親の責任についての判例は多数ありますが、自転車事故についての判例は現時点でも私の利用する判例データベースでは見つけることが出来ません。自転車による事故自体は結構な数がありますが、未成年の子の親の責任を追及した事例は少ないものと思われます。

○しかし自転車での事故でも相手が老人、幼児等身体が脆くて弱い場合は重大事故になる可能性も高く実際そのような事案の相談も受けています。最近テニス等での移動に殆ど自動車を使うことなく自転車を利用している私も心配になり、自動車損害保険ならぬ自転車損害保険を当たりましたが、某保険代理店をしている友人の話では自転車損害保険は数年前に発売打ち切りになったとのことで、一般の個人賠償保険に入るしかありません。
以上:1,181文字

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