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取扱困難事案及び解剖学参考文献紹介

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平成18年 7月11日(火):初稿
○当事務所取扱交通事故事件で最も難しいものの一つに4歳で交通事故により脛骨と腓骨の下3分の1付近を骨折し第1回目、12歳で第2回目、26~27歳で第3回目の手術を受け、28歳で最終的に後遺障害が第7級に確定した事案があります。

宮尾クリニックの宮尾益和氏著「弁護士の為の交通外傷:後遺障害教本」(ネットで検索出来ず)によると脛骨、腓骨の下3分の1の骨折は骨癒合が極めて悪く治療期間が長期に渡る可能性が高く偽関節手術(内固定の変更・骨移植)等の再手術が必要となるケースが多いと解説されています。

○友人の整形外科医の話では脛骨、腓骨の下3分の1付近は子供の骨が成長(伸長)する骨端線に近い為、その後の骨折部分の骨癒合程度が、骨端線での骨の成長に大きく影響し、骨折した脚と骨折しない脚の脚長差が生じやすくなるとのことです。

○本件事案でも4歳から徐々に脚長差が生じ12歳時には脚長差が5㎝に拡大しており、12歳の第2回目手術で創外固定方式骨切術によって脚長差1㎝に短縮するもその後の成長によって再度脚長差が拡大する可能性が大きく成長後第3回目の手術が必要になるであろうと第2回目手術担当医から説明されていました。

○脛骨、腓骨の下3分の1付近の骨折はその後の成長が正常になされないため脛骨・腓骨と足首の距骨・踵骨(かかとの骨)とのつながり具合が正常の方向にならずに変形する可能性が高く本件事案でも骨折した脚の足首が内反変形と診断されていました。

○12歳の第2回目手術後成長に連れ一旦1㎝に短縮した脚長差が徐々に拡大し又内反変形も徐々に悪化して25歳の時再診察を受けるとこのままでは足首内反変形の悪化で足首が曲がらなくなるおそれが強く又脚長差も4,5㎝に拡大していたことから手術が必要と診断され、26~27歳で第3回目の手術を受け、28歳で最終的に自賠責保険会社から後遺障害が第7級が認定されました。

○この後遺障害7級を前提に損害賠償の訴えを提起しましたが、この事案では12歳の時脚長差5㎝を理由にいったん第8級の後遺障害認定を受けており、それが28歳で第7級に上昇したため話しがややこしくなり、消滅時効、除斥期間、因果関係、医療過誤の可能性等争点が多岐に渡り担当裁判官も悩みながら審理を進めております。

○この事案解明のために幼児期における脛骨・腓骨の骨折と成長に伴う脚長差及び足首関節変形等発生のメカニズム等を裁判官に説明しなければなりません。この事案の外にも交通事故事案では、特に頸椎・胸椎・腰椎の損傷とこれに伴う障害の関係等人体構造を勉強する必要が多く生じています。

○そこで素人向け解剖学参考文献として、
①講談社発行「からだの地図帳」、
②医学書院発行「人体の構造と機能」第2版
③医学芸術社発行「人体解剖ビジュアル」
を買い込んで必要部分を読み込んでいるところです。
以上:1,169文字

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