平成18年 6月22日(木):初稿 |
○平成11年の日弁連業革委員会の交通事故取扱弁護士へのアンケート結果では、 「問4 損保会社の社員等から、示談交渉開始にあたり、損保会社社員が示談代行する旨の説明がありましたか。」 の回答は、約80%が無かったであり、 「問5 前問において、『もし損保会社の社員等が示談代行することに反対であれば、示談代行はしない』という説明がありましたか。」 の回答は、ほぼ99%が無かったでした。 ○この結果、示談代行制度の適用は被害者がこれについて同意することを要件としている約款がほぼ無視されていることが明らかで、示談代行員との交渉を拒否できることを知らない方が殆どであることが明らかになっています。 ○この弁護士アンケートでは、記述による回答もあります。 「示談交渉開始にあたり、損保会社社員が示談代行する旨の説明」に対する記述回答では、 ・当然の前提 ・特になし ・特に説明がなくとも、分かっている ・当然のこととして出てくる。 ・当然のこととして当方も認識していました。 ・特に問題はないと思います。 ・説明を受ける事でもなく判っていること などがあり、 「もし損保会社の社員等が示談代行することに反対であれば、示談代行はしないという説明」に対する記述回答では、 ・あなたは弁護士じゃないから、代理できないというと、払うのは損保会社だからと言う話だった。本人は損保会社に任せているからといってでてこない。 ・依頼者の場合 ・特に問題はないと思います。 ・説明はなかったが最初の担当者の対応が余りにもひどいので苦情担当室に苦情を申し入れたところその後上司が担当することになった。 ・説明がなくても弁護士ならわかる。 などがありました。 ○アンケートでの質問の仕方が悪かったのかもしれませんが、示談代行開始前の説明について、弁護士でもあまり問題意識を持っていない方が多いようです。私が、この示談代行開始前の説明を重要視するのは、示談代行員が、被害者と直接交渉することを当然の前提として振る舞い、加えて損保会社独自の損害賠償基準を、当然の前提として説明している現状を変えるべきと思っているからです。 ○交通事故被害者の方は、加害者本人に裁判所の基準による適正な損害賠償金を請求し、裁判所で認めた金額を保険会社が保険契約に基づき被害者に代わって支払うという本来の姿に戻さないと被害者の方は保険会社の言いなりの適正でない損害賠償金しか取れない状況がいつまでも変わりません。 ○平成11年日弁連業革委員会で示談代行実態調査をするときに、示談代行をめぐる諸問題の検討を進めると宣言したことに大いに期待していたのですが、このアンケート結果を全国の弁護士会業務対策委員長会議で報告しただけで後は何にも進んでいませんでした。 ○そこで日弁連業革委員会に所属する私は、平成16年にそれまでの業革委員会広告問題検討PTから新分野PTに移って交通事故問題に取り組み、平成17年金沢業革シンポでは交通事故問題のレポートをしたのですが、現実は厳しく私の力不足で日弁連としての取組にまで至っていません。地道に訴えていくしかありません。 以上:1,268文字
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