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平成18年 6月 9日(金):初稿 |
○人身傷害補償担保特約とは、「お車の運転者および同乗者に対する保険で、運転中の事故によって死亡したり、身体に後遺障害または傷害を被った場合、加害者との示談解決を待たずに、過失割合にかかわらず定められた基準に基づいて算定した損害額を契約金額の範囲内でお支払いする特約です。なお、記名被保険者とそのご家族であれば、歩行中に自動車事故にあわれた場合についても補償の対象」となる交通事故被害者にとっては誠に重宝な特約です。 ○問題はその補償範囲についてアクサ損害保険株式会社の保険約款では第9条(損害額の決定)で「当会社が損害金を支払うべき損害の額は、被保険者が人身傷害事故の直接の結果として、次の各号のいずれかに該当した場合に、その区分ごとに、それぞれ別紙に定める基準により算定された金額の合計額とします。」と定められ、該当する各号は①傷害、②後遺障害、③死亡に区分され、各区分ごとに詳細な基準が定められています。 ○その損害額基準は、これまでの任意保険会社支払基準に沿ったもので自賠責保険金支払基準よりやや高いようですが、裁判基準にはほど遠いものです。例えば慰謝料基準は次の通りです。()内は赤本基準です。 ・死亡慰謝料 一家の支柱である場合 1700万円(2800万円) 65歳以上の者である場合1400万円(この分類無し) 上記以外の者である場合 1450万円(2000~2200万円) ・後遺障害慰謝料 第1級1800万円(2800万円)、第5級700万円(1400万円)、第10級200万円(550万円)、第14級40万円(110万円) ・入通院慰謝料 通院のみ1ヶ月12万3000円(28万円)、入院のみ1ヶ月24万6000円(53万円) 通院のみ6ヶ月62万7000円(116万円)、入院のみ6ヶ月125万5000円(244万円) 入院1ヶ月通院1ヶ月36万9000円(77万円)、入院6ヶ月通院6ヶ月153万8000円(282万円) ○約款第9条(損害額の決定)には「ただし、賠償義務者がある場合において、上記の額が自賠責保険金等によって支払われる金額(自賠責保険金等がない場合、または自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償保障事業により支払われる金額がある場合は、自賠責保険金等によって支払われる金額に相当する金額)を下回る場合には、自賠責保険金等によって支払われる金額とします。」となっております。 ○この約款ただし書きの解釈が重要です。私は「人身傷害補償担保特約-賠償範囲が問題」で「補償の最上限が『自賠責保険で認める金額』となっており、(中略)これをどう解釈するかも問題になります。」と記載しました。これについて私は、「自賠責保険金額が上限」と記載しましたが、「自賠責保険金額を下回る場合には、自賠責保険金等によって支払われる金額とします。」となっており、「自賠責保険金額が下限」であり、最低でも「自賠責保険金額と同じ金額」を支払うと言うことでした。 ○だとすると自賠責保険金額は、最終的には「適正な賠償額」であり、裁判基準で認められる金額ですから、人身傷害補償担保特約における補償範囲も「適正な賠償額」即ち裁判基準賠償額になります。しかし誠に残念ながら自賠責保険金は支払限度額が決められており、この支払限度額の壁を打ち破って人身傷害補償担保特約における補償範囲として裁判基準賠償額を請求する理論構成が必要で、思案しているところです。 以上:1,408文字
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