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平成18年 2月11日(土):初稿 |
○自賠責保険金の少しばかり難しい話しをします。 自賠責保険(自賠責共済)は、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき加入を義務づけられ強制保険で、交通事故による損害の最低保障を目的とした下積み保険とも呼ばれ、損害額の査定は損害保険料率算出機構(旧自算会)調査事務所で一定の基準に基づき機械的になされ、保険金額には上限があり、傷害は120万円、後遺障害は等級に応じた金額が上限です。 ○死亡事故についての保険金額は3000万円が上限で、普通は上限の3000万円の保険金が下りますが、逸失利益が殆ど認められない高齢者が被害者になった場合、限度額の半分の1500万円程度しか認められないことがあります。被害者の遺族がこの金額に不満を持って、支払限度額がまだ1500万円残っているのだから、もっと増額して欲しいと自賠責保険会社に異議申立をしても先ず受け付けてくれません。 ○加害者側に任意保険が付いている場合は自賠責保険金で不足する分を任意保険会社に請求できます。しかし、加害者に任意保険が無く、且つ、加害者が交通事故で刑事裁判となって実刑判決を受け刑務所に入るなどして支払能力がない場合もたまにあります。 ○被害者は自賠法16条で自賠責保険会社に直接請求が出来ますので、自賠責保険金額に不服がある場合、その増額を求めて裁判所に訴えを提起し、例えば2500万円支払えとの判決が出た場合は、自賠責保険会社は、不足額1000万円を追加して支払わなければなりませんでした。 ○自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構(旧自算会)調査事務所が決めた金額以上の支払をするには、その支払を認める判決書か裁判所での和解調書が必要としていました。 ○ところが、平成13年の自賠法改正によって次の自賠法16条の3が追加されました。 第16条の3(支払基準)保険会社は、保険金等を支払うときは、死亡、後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準(以下「支払基準」という。)に従つてこれを支払わなければならない。 ○この国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準(「支払基準」)とは、平成13年12月21日金融庁・国土交通省告示第1号の「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」と言う表題の書面に記載されています。 ○この自賠法16条の3によって定められた支払基準で査定した損害額は自賠責保険金額としては絶対のものであり裁判所の訴えても変更できないと主張する保険会社がありますが、果たしてこの見解は妥当でしょうか。 以上:1,055文字
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