平成17年 7月28日(木):初稿 |
○東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)が平成17年8月1日から発売する第3世代自動車保険『トータルアシスト』の目玉商品「もらい事故」アシストについて2つの疑問があります。 ○先ず一つは加害者が東京海上日動の示談代行付保険に加入していた場合、東京海上日動が被害者側をアシストするとすれば、東京海上日動は、実質的に加害者側被害者側双方代理行為を行うことになります。 請求する方と請求される方の利益相反する当事者双方の代理人とはなれないことが大原則です。 ○次の疑問は、加害者側の保険会社示談代行員は損害賠償基準についてあくまで損保基準しか説明しないのが一般でしたが、被害者側をアシストする場合、損保基準・裁判基準のどちらで説明するのかと言うことです。 加害者側に立ったときは損保基準、被害者側に立ったときは裁判基準という二枚舌は到底許されません。 ○そこで私は保険会社示談代行員には次のような被害者に対する文書での説明義務を課すべきと思っております。 ①損保会社を交渉の相手とすること(示談代行)は拒否できること。 ②損保会社提案損害賠償金額はあくまで損保会社基準による提案であり裁判基準とは異なること。 ③裁判基準による損害賠償金額については弁護士に相談するのが有用であること。 ○これは捜査機関が被疑者を取り調べるときに被疑者に対し①黙秘権があること、②弁護人選任権があることを告知すべきであることと同様な措置です。 ○加害者側保険会社示談代行員が被害者に損害賠償交渉を開始するに当たっては先ず先の3点を記載した文書を被害者に交付して、その内容を説明し、被害者側からその交付及び説明を受けたことを確認する書面に署名押印を貰った上でないと示談交渉に入れないとすべきです。 ○被害者は生命・身体等を侵害されたことの代償としての損害賠償請求権行使に当たっては十分な情報を得る権利があり、十分な情報がなければ真実納得した示談契約を締結したことにはなりません。 この文書の交付義務づけによって弁護士に依頼すると弁護士費用が高く付き却って手取金額が少なくなると言う悪質な虚偽説明をすることも出来なくなります。 ○東京海上日動に「もらい事故」アシスト発売をきっかけとしてこれまでの示談代行員による損害賠償交渉体質を根本的改善を図るべきと思った次第です。 以上:955文字
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